帝国データバンクによると、今年10月の全国企業倒産(負債1千万円以上の法的整理)は704件で、前年同月比4・2%減と、3カ月ぶりに減少した。ただ、前月比では13・2%増加した。負債総額は1169億400万円で、前年同月比23・9%、前月比25・5%それぞれ増加した。
件数を7業種別に見ると、4業種で前年同月比減少した。このうち運輸・通信業(24件、同22・6%減)と建設業(126件、同14・9%減)の2業種は10%以上の2ケタ減となった。
建設業、小売業(146件、同8・2%減)、卸売業(113件、同2・6%減)の3業種は3カ月ぶりに前年同月比減少した。
サービス業(152件、同2・0%増)、製造業(99件、同5・3%増)、不動産業(27件、同17・4%増)は前年同月を上回った。
運輸・通信業は、貨物需要や運賃水準が堅調に推移していること、燃料価格が比較的安定していることなどが倒産減少の背景にあるとしている。
9地域別では、6地域で前年同月比減少した。
このうち関東(275件、同3・8%減)、北陸(14件、同12・5%減)、四国(7件、同63・2%減)の3地域は2カ月連続で前年同月を下回った。
中部(100件、同6・4%増)は4カ月連続で前年同月を上回った。北海道(24件、同50・0%増)、九州(56件、同16・7%増)も増加した。
関東は東京都で卸売業や小売業の倒産件数が減少し、前年同月を大きく下回ったことが全体を押し下げた。
九州は熊本県が金融支援効果などで、8カ月連続で前年同月を下回ったが、福岡県で卸売業や小売業の倒産が増加、全体を押し上げた。
規模別では、負債5千万円未満の倒産が380件で、前年同月比10・4%減。倒産全体に占める割合は54・0%と過半数を占める。一方、負債100億円以上の大型倒産は2件と、低水準が続いている。
上場企業の倒産は発生しなかった。昨年10月以来、13カ月連続となる。
観光関係の主な倒産は、ホテル経営、事業者金融の大和商事(負債17億3800万円、民事再生法、山梨県)、旅館経営のホテル柏屋(負債6億4千万円、破産、長野県)など。