VJ大使がインバウンドで提言 情報発信、危機管理に課題


VJ大使が講演

 訪日インバウンドの将来を考えるセミナー「VISIT JAPAN大使の集い2018in新宿」が10日、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京で開かれた。インバウンドの先駆者などから国が任命したVISIT JAPAN大使(VJ大使)たちが講演し、観光資源の魅力向上や受け入れ環境の整備について提言。文化財の魅力や具体的な交通アクセスに関する情報発信、災害への危機管理、バリアフリー対応などに関する課題の解決を求めた。

 主催はVISIT JAPAN大使の会、新宿観光振興協会、国土交通省関東運輸局。各地で回を重ね、今年の新宿開催が7回目となった。

 VJ大使は現在53人。インバウンドの情報発信や受け入れ態勢整備の取り組みの“お手本”として、国土交通相が2008年から09年にかけて5回に分けて任命した。

 リレー形式の講演には、VJ大使の泉登美雄氏(秋葉原観光推進協会理事長)、後藤典生氏(高台寺執事長)、辻村由佳氏(国際観光サービスセンター成田国際空港ツーリストインフォメーションセンター〈TIC〉所長)、東良和氏(沖縄ツーリスト会長)、政所利子氏(玄代表取締役)、山崎まゆみ氏(温泉エッセイスト)、吉澤勉氏(AppGT取締役)の7人が登壇した。

 テーマ「将来を見据えた観光資源の魅力向上策」では、日本文化の発信などに取り組む京都市の高台寺執事長、後藤氏が「観光は競争だ。ある程度のところまでは観光庁が売り出すべきだが、もっと民間が競い合って情報を発信しなければならない」と語った。

 成田国際空港TIC所長の辻村氏は、観光案内所で外国人観光客に対応してきた経験から、「文化財などの背景にある魅力的なストーリーが伝わっていない。また、交通アクセスなど実際の観光に必要な情報が不足している。旅行前、旅行中の情報発信が課題だ」と訴えた。

 テーマ「受け入れ環境の近未来に向けた品質向上」では、電子決済の整備について沖縄ツーリストの東氏が「キャッシュレスの対応とともに、その背後にあるビッグデータをどう生かすかが重要。地域にデータが残るようにする必要がある」と指摘した。

 地域活性化コンサルタントの政所氏は、自然災害が相次いでいることを踏まえ、「災害に対する観光の危機管理が課題だ。現場で起きたことを検証し、予測可能な事態には十分な対策を講じるべき」と提言した。

 高齢者や障害者の旅行環境では、温泉エッセイストの山崎氏が、温泉施設、温泉旅館の設備の形状など、バリアの情報の見える化がまずは必要と指摘。バリアフリーに先進的に取り組む温泉旅館で採用されているデザイン性に富んだ車いす、手すりなどの実例も紹介し、「行きたいと思わせるデザインにするなど、バリアフリーというより、声掛けなどを含めて、ハートフルな受け入れ環境が大切だ」と語った。

 開催地からは、新宿観光振興協会の杉江俊彦理事長(三越伊勢丹社長)が「新宿の観光施策の歩みと今」と題し、観光案内所の運営、多言語での情報発信などの施策を紹介。「国際観光都市としての持続的な成長に向けて、観光資源の創出や受け入れ環境の整備に取り組み、2020年までに相当数の課題を解決したい」と意欲を示した。


VJ大使が講演

 
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