【47都道府県アンケート調査】観光予算、29自治体で増加 全国計772億に 観光経済新聞調べ


 観光経済新聞社はこのほど、全国47都道府県の観光担当部課を対象に、観光予算額などについてアンケート調査を実施した。2018年度当初予算の観光予算額は、47都道府県を単純合算すると、合計で約772億4千万円となった。知事選の関係で当初予算を骨格予算として編成した石川県、京都府を除いて考えると、45都道府県のうち29自治体が前年度の観光予算額を上回った。

 18年度当初予算の観光予算額は、各自治体の観光担当部課に計上した予算額について回答を求めた結果。国の補助金などを充てた事業の予算額は含めたが、職員給与費は除外してもらった。

 自治体によって、観光担当部課に計上する事業の性格に違いがあるほか、観光担当部課以外に観光に関係する予算が計上されている場合がある。補正予算の対応などを考慮する必要もあり、都道府県間の単純比較、前年度との単純比較などには注意が必要だ。

 骨格予算の2府県を除いて考えると、観光予算が前年度を上回った29自治体の増加率の分布は、10%増未満が12自治体、10%増以上~20%増未満が5自治体、20%増以上が12自治体となった。

 高い増加率を示した自治体のうち、宮崎県の520.3%増は、「観光みやざき未来創造基金」(20億51万円)の新設が主な要因。茨城県の215.4%増は、企業立地促進基金積立金(宿泊施設立地促進補助分)10億円の計上が主な理由。滋賀県の51.1%増は、組織再編で観光交流局に「ここ滋賀推進室」を設置したことが関係した。

 骨格予算の2府県を除き、観光予算額が前年度を下回った自治体は16自治体だった。減少率の分布は、10%減未満が5自治体、10%減以上~20%減未満が5自治体、20%減以上が6自治体。最も下げ幅が大きかった鹿児島県の45.7%減は、施設の建設事業費の減少が影響した。

 各自治体の主要な事業を見ると、東北では震災復興の対応でインバウンド誘客に関する予算が大きい。福島県は「福島インバウンド復興対策事業」に約8億3千万円、岩手県は「いわてインバウンド新時代戦略事業費」に約5億3千万円を計上した。

 来年のラグビーワールドカップ日本開催を踏まえたインバウンド関係事業もある。大分県が「ラグビーワールドカップ観光振興事業」に約9千万円、福岡県が「ラグビーワールドカップ2019を契機とした観光客誘客」に約2千万円など。

 日本人旅行者の誘客では、18年が明治150年に当たることから、山口県の「明治維新150年やまぐち幕末ISHIN祭推進事業」約1億7千万円はじめ、明治維新にゆかりの深い自治体がキャンペーン、イベントに応じて予算を組んだ。

 熊本県は、震災復興に向けて「熊本地震復興観光拠点整備等推進事業」に約1億円を計上した。

 観光資源の関係では、福井県の「日本最大の戦国城下町『一乗谷ミュージアム』化推進事業」約2億円、富山県の「富岩水上ライン新艇建造事業」約1億4千万円など。インバウンドの受け入れ態勢整備では、千葉県の「外国人観光客誘致のための公衆無線LAN環境整備事業」1億円など。

 産業振興や人材育成では、DMOの関係予算のほか、岐阜県が「学生等に向けた『旅館で働く魅力』発信事業」に約1千万円、三重県が「宿泊業生産性向上プログラム支援事業」に約700万円、沖縄県が「地域通訳案内士育成等事業」に約4千万円などを計上した。

  • <データ>本社調査・都道府県観光予算アンケート   (18年6月9日)
  • <データ>本社調査・都道府県観光予算アンケート   (18年6月16日)
  • <データ>本社調査・都道府県観光予算アンケート   (18年6月23日)

旅行サービス手配業、登録数は全国で661社

 都道府県に対するアンケート調査では、旅行業などの今年4月1日時点での登録状況も聞いた。1月に施行された改正旅行業法で創設された旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録数は、全国で661社となった。

 登録数の多さでは、東京都が97社で最多。続いて大阪府が67社、福岡県が43社、沖縄県が39社、愛知県が38社、北海道が36社、千葉県が28社、埼玉県と京都府がそれぞれ24社、長野県が22社などだった。


関連キーワード
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒