全旅連、水道協会と協定締結 災害時に宿情報を提供


協定書を持つ全旅連の多田会長(右)と水道協会の吉田理事長

作業員ら受け入れへ

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、多田計介会長)は17日、日本水道協会(吉田永理事長)と災害時の宿泊施設情報提供に関する協定を締結した。大規模災害が発生した際、水道設備の復旧などに関わる作業員らの宿泊を受け入れる宿の情報を全旅連が水道協会に提供する。全旅連は社会貢献とともに、被災地やその周辺の宿の経済的支援にもつながるとしており、今後は他の業界団体との連携にも取り組む考えだ。

 全旅連の多田会長と水道協会の吉田理事長が17日、東京の全国旅館会館で記者会見を行った。多田会長は「近年、自然災害が多発しており、復旧に取り組む人々へ、何らかのバックアップができないかと考えていた」と述べるとともに、「被災地となり、お客さまが来なくなった宿への経済的な支援にもなる」と、今回の協定の意義を強調した。

 水道協会の吉田理事長は「被災地での宿の確保について、会員からかねて要請があった。今回の協定は会員にとって大きな力になる」と述べた。

 水道協会は各地で水道事業を行う地方公共団体や法人の組織で、会員は全国に約1350団体。地震など自然災害が発生した際は、被災地外の会員団体が被災地へ作業員らを派遣。給水車での給水や破損した水道設備の復旧作業など、「応急活動」に取り組んでいる。2011年の東日本大震災では4万5千人弱の作業員らとおよそ1万4千台の給水車が東北に集結した。

 ただ、作業員らの宿の手配は被災地に人を送る会員団体が自ら行うルールで、宿泊が可能な宿を会員自らが探さなければならなかった。

 今回の協定では、作業員らの受け入れが可能な宿の名簿を水道協会の要請に応じて全旅連が同協会に提供する。同協会は被災地に人を派遣する会員団体に名簿を提供。会員団体が名簿に記載された宿に直接宿泊を申し込む(図)。

 全旅連は傘下の47都道府県旅館ホテル組合から、それぞれの組合員旅館・ホテルの営業状況の情報を集約。水道協会からの情報提供の要請に備える。

 水道協会の吉田理事長は「作業員は作業場所からかなり遠い場所に宿泊し、毎日通うこともあった。情報が集約されれば、より近い場所で宿を見つけることも可能で、(移動時間の分)作業にかける時間を増やせる」と、今回の協定による利点を述べた。

 全旅連は災害時に高齢者や障害者を一定期間、組合員旅館・ホテルで受け入れる自治体との災害協定締結を各地で推進するなど、社会貢献に尽力している。今回の水道協会との協定もその一環。今後は電気、ガスなど他のインフラ関係の業界団体との協定締結も目指す考えだ。

協定書を持つ全旅連の多田会長(右)と水道協会の吉田理事長

 
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