【道標 経営のヒント 141】汗ばむ季節、ニオイ対策は万全に 福島規子


 汗ばむ季節がやってきた。着物で身を包む接客係には、つらい時季でもある。ベテラン接客係の中には「身体に汗をかいても、顔には一切汗をかかない」という兵もいるが、暑いものは暑い。最近は着物ではなく作務衣を制服にする旅館も増えてきたが、汗をかくことに変わりはない。

 さて、和装の汗取り肌着として人気の「あしべ織り」は、値段は張るものの昭和初期からのロングセラー商品である。肌襦袢(じゅばん)の胴回りに天然のスポンジとも言われる燈芯を縫い付けたもので、汗をじんわりと吸い取ってくれる。

 燈芯とはランプや行燈などの油を吸い込ませて明かりを灯すための芯と同じもので、畳の原料であるイ草の芯から作られる。吸湿性に優れており吸い取った汗が気化熱を奪いながら身体から蒸発するときに、体温を下げ涼しさを感じさせてくれる。夏涼しく冬暖かいあしべ織りは、胴回りに厚みがあるため補整を兼ねた肌襦袢としても愛用者が多い。

 しかし、機能性下着の進化は目覚ましく、最近では「抗菌防臭」「接触冷感」「吸汗速乾」をうたった商品が続々と登場している。汗対策用のインナーはユニクロやしまむらといった店舗でも手に入るが、本格的な汗対策には、通販サイトがおススメだ。ベルメゾンの脇汗インナー「サラリスト」シリーズの「超大汗さん」や「大汗さん」、セシールの「爆汗さん」シリーズ、ニッセンの「滝汗さん」シリーズなどネーミングを眺めているだけでも効果が期待できそうだ。塗るタイプの制汗剤と併用すれば汗対策は万全に違いない。

 なお、汗臭いニオイは毛穴から出た皮脂などの分泌物に雑菌が発生するのが原因で、汗そのものはほとんど無臭である。毎日入浴して清潔な肌着を身につけ、消臭スプレーをかけて風通しのよい場所に干しておいた制服を着用すれば汗臭さに悩まされることはない。

 一方、対策が難しいのが、肝臓の働きが弱まることで、尿ではなく汗や皮脂としてアンモニアを排出するときに発生する「疲労臭」である。原因は過労やストレスのほか肥満、過度の飲酒、便秘など。汗臭さとは異なるツンとした饐(す)えた臭いが鼻をつく。入浴や清潔な肌着の着用だけでは消えないやっかいものだ。改善するためには、従業員自身の体調管理だけではなく、過剰労働になっていないか、過度のストレスを抱えていないかといった勤務状況や心理状態を経営者側も正確に把握し、積極的に関与することが必要だろう。

 また、和室に上がったときの足臭や料理説明時の口臭、お客さまの車を回した際に車内に残る加齢臭あるいは煙草臭といった体臭以外の不快臭も見逃せない。特に、口臭は歯周病や内臓の病気が潜んでいる可能性もあるものの、直接、本人に指摘するのは難しい。やはり会社が健康診断の一環として歯科医の受診を勧めるのが、本人も傷つかず妥当なところだろう。

 
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