【竹内美樹の口福のおすそわけ 319】新タマネギ 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹


 今が旬で、どんなお料理にも変身しちゃう優秀な野菜ってなぁ~んだ?

…と、ステイ・ホームでクイズ番組を見過ぎた影響じゃないが、答えは「新タマネギ」。親しくさせていただいている香川県観音寺市の森川さんが、自家菜園で栽培された新タマネギを送って下さると、毎年あぁ春が来たんだなぁと感じる。

 お宅にお邪魔した際、庭の畑を見せていただいたことがある。葉が倒伏するのが収穫の合図。鱗茎(りんけい)部分、つまりタマネギが太ってくると葉の成長が止まり、茎が空洞化して葉の重さを支えきれなくなるそうだ。力いっぱい引き抜き、収穫初体験の後にいただいたのだが、ウマイの何の!

 1品目は、タマネギサラダ。切っただけで、水にさらさなくても辛味がなく、逆に甘味タップリ。油でカリッと揚げたジャコとともにいただけば、新タマネギのみずみずしさとジャコのサクサク感がたまらない。2品目は天ぷら。薄衣でサッと揚げると、より甘味が強くなり、ジューシーさも増す。油との相性も良く、かき揚げでもオニオンリングでも楽しめる。冒頭で述べた通り、タマネギのお料理バリエーションは無限大。新玉だとさらにグレードアップする。

 薄切りにして、おかかとポン酢をかけただけのシンプルな食べ方もおいしい。切ってすぐ生で食せるのが、新タマネギの優れたところ。タマネギを切ると涙が出るが、この刺激臭や辛味の正体は硫化アリル。辛いからって水にさらすと、水溶性なので流れ出ちゃうのだが、実はコイツ、悪者ではなく、むしろ味方である。血液サラサラ効果があり、血圧や血糖値も下げる上、悪玉コレステロールも減らすらしい。免疫力を高める作用や殺菌効果もあり、イマドキぴったりだ!

 ヤツは熱にも弱いので、生のまま食すのがベター。ってことで、筆者がよく作るのが「ヤンパチャンアチ」。ヤンパとは韓国語でタマネギの意、チャンアチとは野菜をしょうゆや酢で漬けた物のことだそう。つまり、韓国式漬物ってとこだ。

 でもやっぱり、熱してもベリウマ。火の通りが早いのも魅力だ。丸ごと蒸すのも、水分が多いからレンジアップで超簡単。厚めの輪切りでバター焼きもイイ。今年はほんの少しジャガイモを入れてヴィシソワーズを作ってみたが、すごく甘いスープができた。シーズン中に、新タマネギギッシリのキッシュも作りたい。

 通年流通しているタマネギは、貯蔵できるように1カ月程度乾燥させてから出荷されるが、フツーの黄タマネギでも収穫直後に出荷すれば新タマネギだ。近年では、1月下旬から出荷される宮崎県延岡市の極早生種「空飛ぶ新玉ネギ」をはじめ、熊本県の「サラたまちゃん」、兵庫県の「淡路フルーツたまねぎ」など、生食を推奨する新タマネギのブランド品種も多い。

 森川さんちの新玉は、大きさも形もまちまちだが、愛情タップリに育てられているからか、甘くて美味。大地の恵みと人のご縁に感謝しつつ、たくさん食べてウイルスと闘うぞ~!。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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