【沿岸被災地3県 旅館を取り巻く現状と課題】福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 小井戸英典理事長


福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 小井戸英典理事長

五輪や東北DC 注目度活かす好機に

 先月の福島県沖地震は大震災を思い起こさせた。あの日から、地震・津波・原発・風評という四重苦の中、行政と民間が一丸となり、街の灯りを絶やさぬよう地域の復興を推し進めてきた。県内の原発は全基廃炉が決定したが、作業は困難で完了までは長い年月を要する。いまだ立入禁止の区域、汚染水、汚染土処分等、問題は山積で、国と東電に対しては新たな風評を生まない対策の徹底を強く要望している。

 地道な努力により、日本人旅行者は徐々に戻り始め、外国人も増加してきた。そのような中、新型コロナ禍となった。県内の宿にとっては大震災に匹敵する大転換期だ。

 震災当時、国内外から頂戴したたくさんの支援には、いくら感謝してもしきれない。経験を基に、大規模災害発生時は、各避難者に応じた受け入れ配宿を迅速正確に進めるため、県内施設の状況を集約してきた。

 本年はオリパラや東北DCが開催され、福島への注目度が高まり、来県者の増加が見込まれる。当時の御礼と感謝の意を伝え、福島の今を見ていただく絶好の機会だ。さまざまな観光需要喚起策を単なる安売りで使い捨てにせず、各地域や施設の持続的な観光復興、景気回復につなげられるよう上手に利用していきたい。そして、今まで以上に感染防止対策を徹底し、お客さまと物理的な距離を置いても心は寄り添いながら、安心と安全の提供に務めていく。私たちは、震災の記憶を風化させず、後世に伝えてゆく使命を抱きながら、お客さま、従業員、地域社会が幸せになれる商いに取り組んでいく。

(こいと旅館)

 

 
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