【テツ旅、バス旅 25】高速バスの満席問題 鎌倉 淳


 短距離の高速バスは予約不要の路線が多く、高速バスの停留所で待っていれば、来たバスに乗ることができます。しかし、高速バスは定員制なので満席の場合は乗れません。

 予約可能な路線も多いですが、事前決済となると利用のハードルが上がります。利用者として都合がいいのは乗車時決済の予約制です。しかし、事業者から見ると、未決済の予約はキャンセルされやすいので、販売ロスが生じてしまうという不都合があります。

 こうした課題を解決するために、新たな仕組みが開発されました。ヴァル研究所の「ソッコーバス」です。このシステムでは、利用者は事前支払いなしにバスを予約し、乗車時に決済できます。バス会社は、予定のバス停で予約客が乗車しなかった場合には、別の予約を受けられます。

 乗車確認などは利用者のスマホを活用し、バス車両内に新たなIT機器を積み込む必要がありません。そのため、導入が簡単なのも長所です。

 「ソッコーバス」を初導入したのが、10月1日に運行を開始した東京駅と流山市を結ぶ高速バスです。実際にスマホで予約してみたところ、操作はとてもスムーズ。予約から乗車までストレスなく利用できました。

 予約ができるのは各便の始発バス停発車時刻までですが、出発後もスマホで空席状況が表示されます。そのため、予約のない利用者も「来たバスが満席で乗れない」という最悪の事態を回避できます。渋滞でバスが遅延していた場合などに、別のバスが先に来たら、それに乗っても問題が起こりません。

 高速バスの途中のバス停は寂しい場所にあることも多く、予約なしでバスを待つのは不安がともなうものです。特に、最終バスに近い時間帯は、乗れなかったときのことを思うと、予約なしの利用自体をためらうでしょう。「ソッコーバス」は、こうした不安を解消する可能性のある仕組みといえます。

 高速バスに限った話ではなく、たとえば紅葉シーズンの奥入瀬など、旅先で混雑するバスに乗車できるか、心配になることはよくあります。そういう際に、こうしたシステムがあれば不安が減るでしょう。

 新型コロナウイルス感染症で、バスの利用者は減少しています。新たな取り組みによりバスの使いやすさを改善することで、利用者が戻ってくるといいのですが。

 (旅行総合研究所タビリス代表)  

 
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