公益財団法人日本交通公社(末永安生会長)は10月27、28日、「第30回旅行動向シンポジウム」をオンラインで開催した。「コロナ禍における観光」をテーマに、訪日外国人旅行と日本人の旅行について今年の動向と今後の見通しを示した。
1日目は、インバウンド市場の再始動に向けた施策について探った。同財団の研究員は、独自調査の結果をもとに、今できることとして「現地での高い訪日需要を維持、喚起する」「再開の際にどのような市場から受け入れられるのか検討する」の2点を挙げた。
ゲストである日本政府観光局(JNTO)企画総室長、蔵持京治氏は「日本が安全、安心であることをしっかりとPRし、受け入れにつなげていきたい」と強調。高山市企画部東京事務所所長、林秀和氏は「前よりも良かったと思ってもらえる滞在にするための準備期間にしていく」と取り組みの方針を語った。
コロナ禍での観光地の取り組みとして、島根県・海士町での旅を自宅で楽しむオンラインツアーを企画した「島ファクトリー」も紹介した。
コロナ禍における日本人旅行者の動向に焦点を当てた2日目。同財団の調査の結果から「コロナ禍収束後、7割が旅行に行きたい一方で、1割弱は旅行市場から欠落する可能性が高い。女性・高齢層ほど不安が大きく、旅行意向は低い」などと研究員が報告した。
これまでの危機から観光復興を成し遂げた地域の実例も提示。ゲストの「かまいしDMC」サステナビリティ・コーディネーター、久保竜太氏が、東日本大震災からの復興を目指す岩手県釜石市の取り組みとして、まちづくりの調整役「釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)」の活動などを説明した。