観光立国とツーリズム産業 TIJ 会長 舩山龍二氏に聞く 観光立国は風土の変革 従来以上に政策提言を

  • 2004年10月9日

6月の総会で会長に就任しました。どう受け止めていますか。
 「日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)は旅行、宿泊、鉄道、航空など観光に関連する幅広い業種が集まっている。まとめ役は堤(義明=前会長)さんだからこそできた。その意味では重責を感じている。しかし、空白期間を作って停滞してはならないと考え、お引き受けした」

観光立国に向けた動きが強まっています。
 「観光が従来になく注目されており、ツーリズム産業の底上げを図るにはいいタイミングだ。観光は国土交通省管轄だが、小泉首相が観光立国に意欲を示したため、省庁の垣根を越えた動きが出てきた。例えば、これまで日本の観光PRにあまり関心のなかった大使館も各地で行い始めており、立国への理解が進んでいる」

今年度事業では一橋大との産学連携事業が目を引きます。
 「ツーリズム産業の学問的な裏付けを確立するための事業だ。来年度から正式講座としてスタートする。カリキュラムについては11月には固まると思う。構想では3分の1について我々実務者が講義し、3分の2を教授らにやってもらう。私も立教大で教えているが、生徒の反応は非常にいい。なぜなら具体的かつ最先端の話をしているからだ。ツーリズム産業でやってみたいという学生が増えており、この事業に大きく期待している」

秋休みキャンペーンはTIJならではですね。
 「今年度で3年目を迎え、認知度も上がってきた。ただ学校の制度と直接リンクするだけに、学校の休みと旅行を直接ぶつけるのは慎重にやるべきだろう。いずれにしろ、観光にとっての最大の問題は集中化。このキャンペーンが平準化につながればいい。企業でも計画年休を導入する企業が増えており、家族旅行のあり方も段々と変わってくるのではないか」

 「日本の観光は先進国に比べ滞在が非常に短い。原因はいろいろあるが、1つは旅行費用が高いということ。家族で1泊旅行をすると、距離にもよるがどんなに安くても5万円ぐらいする。現状考えられる最も長いパターンの3泊4日で、一家族で10万円。こういうのを設定できたら割合いけると思う。旅行会社も鉄道も、宿泊施設も10万円にするための努力をして、旅行しやすい環境作りをしなければ、と思う」

 3~4泊しても飽きない魅力が、国内観光地にあるかどうかというのも問題ですね。

 「満足させて、かつ有意義な時間を消費させるプログラムが必要。いわゆるソフトの問題になる。旅館の食事にしても1泊2食にこだわる必要はない。西洋料理のメニューだってあれほどの数は出していない。残す人も多く、無駄が多いという気がしてならない」

インバウンド促進も課題の1つですね。
 「観光立国は世界に開かれた日本になるとともに、日本人を理解してもらう運動であり、日本の閉鎖的な風土を変える運動でもある。本当に外客を増やすには税制面などの優遇策を講じるなど、政府ももっと大胆な施策をとるべきだ。いずれにしろTIJもこれまで以上に積極的に関与していく」

2010年に1千万人は実現可能でしょうか。
 「中国次第だろう。が、問題も少なくない。中国の旅行会社に(日本に旅行者を送る)仕組み、パッケージ化がまだできていないからだ。事前に仕入れて宣伝してパンフレットで募集するのではなく、新聞でただ1行、『中国発日本○○元』『米国○○元』として募集しているのが実情。悪くいえば安ければいいという考えだ。これが続くと安売りがはびこる可能性がある。日本側もインについてはどちらかといえば苦手な分野で、アウトほどのシステムはできていない。ワンウエーではなく、ツーウエーの関係を早く構築すべきだろう」

TIJもいろいろな事業を手がけていますが、TIJしかできないこともあると思います。
 「政治を動かすというか、やはり政策提言だろう。これまで観光立国担当相を誕生させた成果もある。会員にとっても分かりやすいし、我々の要求が実現すればツーリズム産業全体の底上げにつながる。幸い人材は輩出しており、皆さんの知恵、意見を集約し、これまで以上に提言していく」

財政基盤を確固たるものにするには会員を増やさなければなりません。
 「会員数は設立当時99だったが、現在は175となっている。今年度中に2百にしたい」

 
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