最終的な採択数は200件弱か
宿泊施設や観光施設の改修などに補助金を交付する観光庁の2023年度「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」事業では、第1期の公募に対する第1回審査の結果、53地域の地域計画が採択された。第1期公募の申請数は200件を超えており、次回審査での採択も見込まれている。さらに第2期の公募も1日にスタート。事業の総予算1500億円から考えて、地域計画の最終的な採択数は、第2期公募分も含めて200件弱程度とみられる。
第1回審査で採択された53地域について、地方運輸局管轄などの地方ブロック別の分布を見ると、北海道1、東北4、関東7、北陸信越3、中部11、近畿4、中国6、四国4、九州11、沖縄1となった。
主な地域の計画内容では、琴平町観光活性化協議会(香川県琴平町)が、「何度も訪れたくなる町」をコンセプトに町並みの整備を含む施設改修を進めるほか、三豊、祖谷など近隣エリアへの回遊性を高める実証事業を通じて長期滞在が可能な環境を整備する。
野沢温泉観光協会(長野県野沢温泉村)は、外湯文化などを生かした宿泊環境の構築、温泉街の雰囲気と調和した外観整備に取り組む。Reデザインきりしま(鹿児島県霧島市)は、宿泊施設の温泉付き客室への改修をはじめ、地域の食を生かし、「食×湯・宿」のコンセプトに沿った施設改修を実施する。
宿泊・観光施設の改修、廃屋の撤去などに加えて、23年度事業から補助メニューに加わった「面的DX」は、採択された53地域のうち20地域程度が地域計画に事業を盛り込んでいるという。このうち伊勢志摩観光コンベンション機構(三重県)、豊岡観光イノベーション(兵庫県)、瀬戸内・小豆島歓光推進機構(香川県)の3地域は、面的DXの事業だけを掲げた地域計画となっている。
面的DXで支援を想定している取り組み例は、(1)顔認証などによる面的なキャッシュレス化(2)地域共通アプリの導入やデータ分析(3)地域を回遊する旅行者の行動把握の仕組みの構築(4)宿泊施設、アクティビティ、飲食店など地域一括予約サイトの構築(5)業務効率化ツールの導入(6)宿泊予約データの地域全体での共有―など。
23年度の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」事業の予算は、22年度第2次補正予算で計上された1500億円で、うち500億円は複数年度事業に対応できるよう国庫債務負担行為で計上された。
前身となる22年度の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化」事業では、21年度経済対策関係予算として1千億円が充てられた。312地域の申請に対し、138地域の計画を採択。採択計画に基づく支援事業数は、宿泊施設1530件、観光施設506件、廃屋撤去167件、公的施設10件などだった。
観光庁2023年度「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」事業の採択結果
第1期公募に対する第1回審査で採択された53地域は次の通り。
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