観光庁の井手憲文長官はこのほど、就任後初の専門紙向けの定例会見で抱負を述べ、成長性の高い観光分野を伸ばすために力を尽くす考えを示した。東日本大震災からの復興では、インバウンド、国内観光の本格的な需要回復に取り組むほか、観光産業の強化を重視する姿勢などを強調した=写真。
井手長官は「日本経済は中期的には沈滞気味だが、観光は成長性のある分野だ」と述べ、歴史小説家、司馬遼太郎の明治期を描いた作品を引用しながら「観光はがんばれば伸びる。『坂の上の雲』を目指して力を尽くしたい」と語った。
施策の方向性では、インバウンドに関して市場ごとの需要に対してきめ細やかな施策を打つ必要性を強調したほか、旅行消費など質の向上も必要だと指摘。国内観光を含めた震災からの需要回復では「痛手をこうむっている地域もあり、復興の道は半ば。いろいろな手段を組み合わせて着実に取り組む」と述べた。
産業育成にも触れ、「観光産業は多様な要素が入り混じった分野。客数を増加させる施策などに目が向きがちだが、産業全体を強化することが重要」と語った。観光分野の成長、産業の強化のために観光庁職員には、業務に関するスキル、ノウハウの蓄積を求めていく考えを示した。