観光庁の検討会議、体験型コンテンツ充実を提言

  • 2018年4月16日

昨年10月に開かれた「『楽しい国日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」の初会合

 観光庁の「『楽しい国日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」はこのほど、訪日外国人旅行者の「コト消費」の拡大に向けて体験型コンテンツを充実させる方向性を提言にまとめた。野外アクティビティをはじめ自然や文化、温泉などを生かしたメニューの強化、ナイトタイム(夜間)の有効活用など新たなコンテンツの掘り起こしなどを提言。「コト消費」に該当する統計上の費目、娯楽サービス費を「世界最高水準」に引き上げる目標の設定も求めた。

 観光庁の訪日外国人消費動向調査(2017年速報値)によると、1人当たり旅行支出の平均15万3921円のうち娯楽サービス費は5014円。国際比較が可能な基準で数値を置き換えて見ると、日本の娯楽サービス費は、金額が上位の豪州、米国の約4分の1の水準にとどまる。提言の目標「世界最高水準」を達成するには、現状の約5千円を2万円程度に引き上げる必要がある。

 日本の体験型コンテンツの現状について提言では、造成状況を海外と比較した場合、「造成数自体は少なくないものの、分野別にみると、わが国では名所・観光スポットを巡るツアーなどの数が多く、屋外アクティビティやクルーズの分野などは少ない」として、世界の市場動向などを踏まえた戦略的な事業展開の必要性を指摘した。

 体験型コンテンツの造成では、神社仏閣、城郭、庭園、自然など、日本の独自性を生かした観光の「場・資源」と、宿泊、飲食、音楽、アートなどの「機能・コンテンツ」を掛け合わせると、日本ならではのユニークな体験となり、差別化につながると提案。ガイド、交通、宿泊などと連動させ、単価を引き上げる工夫も求めた。

 流通や宣伝では、旅行者が活用するウェブサイトや国内外の旅行会社などを通じ、旅行前、旅行中の情報提供から予約、決済までをスムーズにする必要があると指摘。「国内市場を対象として普及したチケットのコンビニ発券などの流通の仕組みや紙によるプロモーションから、スマートフォンによる販売などの電子決済を前提とした流通システムや、観光案内所などでのチケット販売、多言語化されたモバイル対応での情報発信などへの移行を早急に進めるべき」とした。

 体験型コンテンツを提供する事業者に関しては、人材の確保、育成と安定した雇用、経営基盤の確立が不可欠として、事業者数や雇用者数、経営状況などの実態を国が早期に調査し、課題などを把握した上で支援策を講じるよう求めた。

 各論としては、「地域の観光資源を活用した体験型コンテンツの定番化」として、(1)地域固有の自然のさらなる観光活用(2)生活・文化に触れる体験機会の提供(3)祭りの訪日外国人への開放(4)温泉の観光資源としてのさらなる活用―を挙げた。

 「新たな体験型コンテンツを観光資源として掘り起こす取り組み」としては、(1)ナイトタイムの有効活用(2)モーニングタイムの有効活用(3)付加価値の高い美容サービスの提供(4)観戦型スポーツの訪日外国人への開放(5)ビーチの観光資源としての見直し―に注目した。

 「体験型観光の充実を支える取り組み」では、(1)チケット購入の容易化(2)公共空間の柔軟な活用(3)エンターテインメント・コンテンツの鑑賞機会の拡大(4)VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などの最新技術の活用―を取り上げた。

 「『楽しい国日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」は昨年10月から会合を重ねて提言をまとめた。

 検討会議の構成員は次の通り(敬称略、役職の一部は在任時)。

 デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社代表取締役社長)▽原田静織(ランドリーム代表取締役兼WILLER取締役)▽伏谷博之(タイムアウト東京代表取締役)▽山田拓(美ら地球代表取締役)▽松山良一(日本政府観光局理事長)▽田川博己(日本旅行業協会会長)▽山口範雄(日本観光振興協会会長)

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