観光庁、旅館に外国人向け情報提供の強化促す


 観光庁は、個人客を中心とする外国人旅行者の宿泊需要を取り込んでもらおうと、旅館をはじめとする宿泊施設に情報提供の強化を求めている。2日、今後の施策の方向性を示し、事業者や関係団体に対応を呼びかけた。設備やサービスの内容を示す共通の書式を宿泊業団体などと策定し、個々の宿泊施設にホームページ(HP)への掲載を促すほか、日本国内の宿泊施設の情報を集約した窓口サイトを日本政府観光局(JNTO)の外国語サイトに開設する方針を打ち出した。訪日外国人2千万人の目標を踏まえ、宿泊施設の経営者に意識改革も促していく。

 観光庁は、「宿泊施設の情報提供の現状・課題と今後の方向性」と題して施策を提示。昨年4月、観光事業者や有識者で構成する観光庁の観光産業政策検討会がまとめた提言がきっかけ。提言は、施設やサービスの水準が利用者に分かりにくいと指摘し、訪日外国人を念頭にした情報提供の仕組みの導入を検討するように求めていた。

 宿泊施設の外国人に対する情報提供について観光庁は、今後増加が予想される個人旅行者の取り込みが必要として、効果的な情報発信を喫緊の課題と位置付けた。

 特に旅館では、外国語のウェブサイトの開設が十分とは言えず、開設していても、日本語サイトに比べて情報量が少ないと指摘する。

 旅館団体や地域の観光協会などのサイトに関しても、情報量や更新頻度、ターゲットの設定などには課題があり、旅館などの情報は、「外国語の一般的な検索サイトで上位にヒットすることはなく、訪日旅行の情報を収集する個人旅行者にさえ、情報が届いていない状況」と問題を提起した。

 観光庁は、情報発信の強化策を示した。個々の宿泊施設による対応では、部屋の広さやWi—Fiの環境など基本的な設備やサービスの内容を示した「一覧性があり、他との比較を容易にできるような簡明な共通フォーマット(書式)による情報発信が望ましい」と提案した。

 フォーマットは、観光庁が宿泊業団体と協議しながら、今年度内に策定する考え。観光庁観光産業課の石原大課長は「フォーマットをHPに掲載するかどうかは個々の宿泊施設の経営判断になるが、集客への効果を理解してもらい、普及を働きかけていく」と話した。

 JNTOの外国語サイトには、宿泊業団体や地域の観光協会、宿泊施設で構成するグループなどのHPとリンクを張った窓口サイトを開設。ホテル、旅館、ビジネスホテル、民宿、ペンションなど日本国内の多様な宿泊施設の情報を発信し、最終的には個々の宿泊施設での予約に誘導する。観光庁はJNTOとの調整を経て、来年度中の窓口サイトの開設を目指す方針だ。

 また、観光庁は、宿泊施設の経営者の意識改革も促す。「我が国の旅行人口が中長期的に減少していくことは統計上明らかであり、装置産業的な要素が強い宿泊施設が市場の変化に適応するためには、日本人旅行者のみならず、外国人旅行者も併せて取り込んでいく意識を持つことが求められる」と訴えている。

格付け制度の必要性感じない 観光庁
 宿泊施設の情報提供のあり方に関しては、観光庁の観光産業政策検討会の中で「格付け制度」が話題に挙がった。ただ、必要性や有効性には否定的な意見もあり、提言には、「現時点では、格付けを目的とした制度を一律に導入するのではなく」として、情報提供制度の充実、普及の必要性が盛り込まれた。

 格付け制度について、観光庁観光産業課の石原課長は「観光庁では、今、格付けが必要だとは考えていない。『格付けがないから宿泊施設を選びにくい』というような声が多くあれば別だが、今はクチコミなどの評価もあり、現時点では必要性を感じない」との考えを示した。

 
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