初の使用許可、八ヶ岳と小樽に
観光庁は4日、持続可能な観光地経営に取り組んでいることを示す「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS―D)」のロゴマークについて、2地域に初めて使用を許可した。使用申請が認められたのは、小樽市・小樽観光協会(北海道)と、山梨県と長野県にまたがる地域連携DMOの八ケ岳ツーリズムマネジメント。JSTS―Dは昨年6月に策定された持続可能な観光に関する指標が定められたガイドライン。オーバーツーリズムや感染症への対策が今後の課題となる中、ロゴマークの使用は、持続可能な観光地経営を地域内外にアピールするきっかけになりそうだ。
JSTS―Dは、ジャパン・サステナブル・ツーリズム・スタンダード・フォー・デスティネーションの略。国際非営利団体のグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)が開発した国際的な基準を基に、日本の特性を踏まえて策定された。
オーバーツーリズムなどの問題を背景に、地域への負荷と貢献を多面的に把握し、持続可能な観光を目指すための基準で、観光地経営、社会経済、文化、環境の4分野について、47の大項目、113の小項目の指標が設定されている。感染症対策や自然災害の危機管理に関する指標も設けられている。
JSTS―Dは、観光地における自己分析ツール、住民との合意を形成を図るコミュニケーションツールとして活用が期待される。持続可能な観光を目指す地域としてのブランド化にも活用でき、観光庁がロゴマークの申請制度を運用している。
ロゴマークの使用を申請できるのは、地方自治体、DMO、観光協会、民間事業者など。JSTS―Dに基づいた取り組みを地域の観光計画などに明記し、推進していることや、GSTC公認のトレーニングプログラムを修了した人材がいることなどが使用許可の基準になる。
使用申請が認められた八ケ岳ツーリズムマネジメントは、観光圏整備法に基づく八ケ岳観光圏の中核組織で、山梨県北杜市、長野県富士見町、原村が対象エリア。小林昭治代表理事は「DMOの形成計画にもSDGs(持続可能な開発目標)に沿った観光地経営を盛り込んでいる。ロゴマークの使用を契機に持続可能な観光への取り組みを推進し、域内の認知度を高め、地域住民の満足度向上につなげていきたい」と語った。
小樽市と小樽観光協会もロゴマークを活用していく。小樽市産業港湾部観光振興室の田中洋之氏は「今、小樽観光協会を母体にDMOの形成を目指している。観光庁の候補DMOへの登録に向け、形成計画にも持続可能な観光への施策を位置付けた。DMOの形成を進める上で、持続可能な観光への姿勢もPRしていきたい」と述べた。
JSTS―Dのロゴマーク