総務省は、3日に公表した「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」の中で、国際観光ホテル整備法に基づく登録旅館・ホテルのうち約4割が外国語による接遇を行っていないなどと指摘して、国土交通省に対し、「原因を分析し、ホテル・旅館の登録制度を有効に機能させるための必要な措置を講ずること」と勧告した。宿泊業全般についても、一部の事業者が外客の受け入れに消極的だとして、外国語での接遇向上につながる措置をとるよう国交省に勧告した。
総務省の勧告の主な根拠となっている宿泊業者に対する意識調査(08年4月実施)の結果によると、07年の1年間に外国人旅行者が宿泊したと回答した登録旅館・ホテル1560軒のうち、外国語の接遇を「行っている」は59.2%にとどまった。「行う予定」17.2%と、「行っていないし、行う予定もない」22.9%とを合わせると、40.1%にあたる施設が外国語での接遇を実施していなかった。
外国語による施設の案内表示や情報提供についても「行っている」は56.9%で、「行う予定」が20.2%、「行っていないし、行う予定もない」が20.9%となり、41.1%が実施していない。
国際観光ホテル整備法では、登録旅館・ホテルに(1)複数の外国語による案内標識を整備する(2)外客接遇上、必要な複数の外国語会話の能力を有する従業員による接遇を可能とする(3)外客の観光に適する観光地の情報を外国語により記載された案内書の配布その他の方法により提供する──ように努めることを義務づけている。
総務省は、意識調査の結果などを踏まえた政策評価として、「4割強の施設では、外国語による接遇を行っていないことなどから、登録制度の創設の趣旨からはかい離した実態となっており、外国人旅行者の受け入れ促進に必ずしも有効に機能していない」と問題視した。
また、総務省は、登録旅館・ホテルに限らず宿泊業者全般に対しも、外国語の接遇向上につながる措置として、「一部の中小規模の宿泊業者が外国人旅行者の受け入れに消極的である原因を分析するとともに、積極的に受け入れている中小規模の宿泊業者の推奨事例の情報を提供すること」と国交省に勧告した。
総務省の意識調査によると、07年に外国人旅行者の受け入れがなかったと回答した宿泊業者2675軒(事業所・企業統計調査名簿にある旅館・ホテルが調査対象)のうち、72.3%が「外国人旅行者に宿泊してほしくない(受け入れたくない)」と回答。客室数が少ない施設ほど外客の受け入れに消極的な傾向があり、その理由には外国語対応への不安、外客向け施設整備の不十分さなどを挙げる回答が多かった。
入国審査の円滑化 法務省にも勧告
総務省がまとめた外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価では、観光立国推進基本計画の目標達成などに向けて、国際観光の振興策に関係のある6省(総務、法務、外務、農林水産、経済産業、国土交通の各省)を対象に政策の効果を評価した。国交省が取り組む政策だけでなく、法務省に対しても出入国手続きの円滑化などで勧告を出した。
主な勧告の内容は次の通り。
【国交省に対して】
ビジット・ジャパン・キャンペーン事業の効果的・効率的な実施=事業の広域化、複合化を推進するため、事業をより戦略的に実施すること▽観光案内所の充実強化=外国人旅行者の利用が増えている地方公共団体案内所に対して外国語対応などの支援方策を検討すること▽通訳案内士の活動機会の拡大=活動機会の拡大が不十分となっている要因を分析し、拡大できるような施策を検討すること
【法務省に対して】
出入国手続きの円滑化=入国審査官の配置などについてさらに検証し、入国審査の待ち時間を短縮するため、一層機動的な運用を行うこと




