東京都と東京観光財団は3日、「観光活性化フォーラム」をオンラインで開き、全国3地域が進める観光活性化への取り組みを東京都内の観光事業者らに紹介した。石川県志賀町は「楽しく」「映える」をキーワードにした海岸清掃事業、神奈川県横須賀市は地域での滞在時間拡大を目指した夜間と早朝の誘客事業、東京都八王子市は日本遺産に認定された高尾山の今後の活用法をそれぞれ述べた。
能登半島西部に位置する石川県志賀町は、大島、増穂浦の各海岸を有し、夏には海水浴やキャンプを楽しむ多くの客でにぎわう。ただ、近年は海岸に漂着する海洋ごみが増え、その対策が課題となっていた。同町観光協会は美しい海岸を守るためのごみ拾い事業をスタートさせたが、参加者は年々減少していった。
参加者を呼び込むために、「工夫」「集客力」「SNS」「広報宣伝」の四つが重要と認識。「ごみ拾いを企画化させよう」と、「楽しく」「映える」をキーワードに新たな事業をスタートさせた。
ごみ袋のデザインにこだわった。町特産のスイカとピンク色のウサギの柄の2種類の袋を用意し、参加者に清掃の際に使ってもらった。ごみをいっぱいに入れた袋は見た目が可愛く映り、収集された袋の山はSNS用の格好の被写体になった。ごみ袋を収納するコンテナの表面も美術を専攻する地元の大学生と高校生にイラストを描いてもらい、「SNS映え」する外観にした。
観光協会はこれらを撮影し、SNSに投稿してもらうフォトコンテストを実施。話題を拡散し、町のアピールにつなげた。
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横須賀市でクルーズ事業を手掛けるトライアングルは、東京湾内唯一の無人島「猿島」を舞台に、夜間と早朝の誘客事業を実施。「都会から1時間の場所で非日常を味わえる」と好評だ。
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