楽天トラベルは2日、宿泊施設に対する新サービス「決済代行プログラム」を始めた。3日に東京で800人、5日に大阪で500人の旅館ホテル関係者を集めてそれぞれ開いた「楽天トラベルサマーフォーラム2007」で岡武公士社長が詳細を発表した。
宿泊予約サイトのビジネスモデルは、予約サイト経由で宿泊予約をした利用者が、チェックアウト時に宿に直接支払いをするのが基本。決済代行プログラムでは、楽トラが利用者と宿の間に入って決済をする。
同プログラムは「事前カード決済」「インバウンド」「一括精算サービス」「国内ダイナミックパッケージ」の4種類。
事前カード決済とは、利用者が予約時に宿泊料をカードで楽トラに支払うもの。宿へのキャンセル料は楽トラが保証する。通常の手数料(Aプラン7%、Bプラン8%、Cプラン9%)に加えて、決済手数料2%と決済処理サービス料(データ処理料とキャンセル処理料)を宿が負担する。データ処理料は1件につき15円、キャンセル処理料は1件につき5円だ。宿は楽トラに支払う手数料が増えることになるが、宿泊予約サイトの構造的欠陥だったノーショウ(無連絡での不泊)客のキャンセル料が担保されるなどの利点もある。
岡武社長は事前カード決済の決済手数料率について「カード利用時の手数料率2%は大手旅行会社や業界団体が宿に提供している中で一番低率のはず」と説明した。
事前カード決済はインバウンドでも行う。通常の手数料10%の他に、決済手数料2%、データ処理料1件15円、キャンセル処理料1件5円を適用する。インバウンド客は事前カード決済に慣れているが、これまで対応していなかった。ただ、利用者には予約時にカード番号を入力させていたため、事前決済と勘違いされる場合も多く、チェックアウト時にトラブルになることもあった。「これで施設にご迷惑をかけなくなるはず」(岡武社長)という。
一括精算サービスとは、楽トラと法人契約している企業の従業員が出張で宿泊する場合に、フロントでの精算を一切行わないもの。決済手数料率は1.5%に抑え、決算処理サービス料は無料にした。
ANAの国内航空便と全国の宿泊施設を利用者が自由に組み合わせて購入する国内ダイナミックパッケージでは、決済手数料、データ処理料、キャンセル処理料のすべてを無料とした。楽トラはダイナミックパッケージで鉄道会社との提携も視野に入れている。参画宿泊施設をさらに増やし、マーケットでの優位性を高めていくため、戦略的に手数料をゼロにした模様だ。
決済代行プログラムを発表する岡武社長(東京会場で)