旅館・ホテル向けの保険を取り扱う日本観光旅館連盟の事業会社が、外国人宿泊客の受け入れをサポートする保険の提供を始めた。宿にとって外国人の受け入れの不安の1つは言葉の問題。特に病気やケガへの対応は難しい。新設した保険では、宿泊客と医療機関の意思疎通に5言語の電話通訳サービスが利用でき、その費用などが補償される。付帯サービスも魅力で、医療対応以外の宿と宿泊客の会話にも電話通訳サービスを無料で利用できる。
保険を取り扱う事業会社「日本旅館ホテル事業」は、日観連が10月に国際観光旅館連盟と合併し新法人「日本旅館協会」を設立するのに合わせ、日観連事業が社名変更した株式会社だ。保険の名称は「外国人宿泊客サポート費用保険」で、大手保険会社が引き受ける。日観連、国観連の会員に加入を呼びかけている。
補償の内容は、外国人宿泊客が病気やケガで医療サービスの提供を要望した場合、医療機関の医師や看護師と、宿泊客との間の会話に電話通訳サービスが利用でき、その費用の実費を宿に支払うというもの。医療機関と宿の移動にかかった公共交通機関の交通費も補償対象。補償限度額は1事故当たり1万5千円。
付帯サービスとして電話通訳サービスが利用できる。通信費は宿側の負担だが、医療対応だけでなく、「フロントで何かを訴えているが、理解できない」「クレームを受けており、至急対応を説明したい」などの場面でも無料で利用できる。
医療対応または付帯サービスの日常時の対応で電話通訳サービスが可能な言語は、英語、韓国語、中国語、スペイン語、ポルトガル語。年中無休で24時間対応する。サービスを提供する提携会社は、電話通訳サービスでテーマパークや遊園地、運輸事業者などとの契約実績があり、信頼性が高いという。
年間の保険料は、旅館・ホテルの前年の外国人宿泊人数に応じて設定されている。1万人以下は2万4千円、5万人以下は12万円、7万人以下は16万8千円など。
日観連の中村義宗専務理事は「外客を受け入れたくても、傷病時の対応など言葉に不安を感じている宿は少なくない。日常の電話通訳サービスが付帯した保険を活用し、安心して外客誘致に取り組んでもらいたい」と話す。保険への加入を外国人旅行者にPRするなど、誘客のセールスに生かすこともできるとも指摘している。
日観連事業が合併で社名変更 日本旅館ホテル事業に
日観連会員の旅館・ホテル向けの保険を取り扱う保険代理業の日観連事業は、日観連と国観連の10月の合併に伴う対応で、社名を「日本旅館ホテル事業株式会社」に変更した。3日付。
日本旅館ホテル事業は、旅館賠償責任保険、トコジラミの駆除費用などを補償する消毒費用カバー保険、外国人宿泊客サポート費用保険などの取り扱いが主な事業。
住所は東京都千代田区内神田2—14—10東正ビル2階、電話番号は03・5298・2191。ともに社名変更前からの変更はない。