
日本文化遺産を守る会 会長(秋田・強首樅峰苑)小山田 明氏
「クラシック旅館」を発信、定着へ
――日本文化遺産を守る会について伺いたい。
「歴史的建造物の使用、または所有する宿の集まりで、現在は国の登録文化財、地方自治体の指定重要文化財など16軒の宿で構成されている。築50年、100年以上の建造物など、歴史的、文化的遺産を一堂に会に集め、組織力をもって個々の悩みや相談も受けている。われわれには、効果的な文化遺産を後世に残すという責務がある」
――文化遺産の宿の価値とは。
「温泉を利用する宿泊施設は全国に1万数千軒あるが、国の登録有形文化財となっている宿泊施設は80軒ほどしかなく、存在が希少だと捉えている。2年前には法人格を取得し、再スタートを切った。価値を最大限に生かしながら、国内外に存在をアピールしていく」
――親会である「日本温泉文化を守る会」を持つ意味とは。
「単独では数の面でも力を発揮できない部分がある。3部会のつながり、その上に親会があることは心強く、会を持続可能なものにするためにも、文化庁など官庁や自治体、関係団体への折衝なども力を借りながら共に取り組んでいきたい」
――文化遺産の宿を次世代につなげるには。
「気になる維持、管理だが、どの建物も基本構造がしっかりとしており、今後何十年、100年と生き続けられるものだ。軽微な改修は、独特な各施設の雰囲気を残しながら、今後は若い人たちとも時代に合った改装を共に考えていきたい。また、施設の特徴からして、インバウンドに非常に強く、ウィズコロナ、アフターコロナ期に大きな可能性を秘めている。若い人たちには、夢のある施設を生かし、大いに力を奮ってほしい」
――今後について。
「歴史あるホテルをクラシックホテルというが、当然旅館も『クラシック旅館』という言葉を使っていい。利便性を追求する施設も悪くないが、例えば障子、いろりなど、昔から続く空間を楽しんでいただく。文化遺産を活用した新たな滞在様式もこの会から発信し、広めていきたい」
――読者に一言。
「歴史ある建物には独特な雰囲気があり、それは皆さんが中に入り感じられるもの。われわれは、その部分を大事にしている。歴史遺産、文化遺産が一堂に集まる部会であり、皆さんも会の宿に訪れ、昔に思いをはせてほしい」
日本文化遺産を守る会 会長(秋田・強首樅峰苑)小山田 明氏