
文化審議会(宮田亮平会長)は17日、栃木県足利市の鑁阿寺(ばんなじ)本堂=写真=を国宝に、東京都目黒区の旧前田家本邸など9件の建造物を重要文化財に指定するよう下村博文文部科学相に答申した。これにより、建造物の重文は2406件、4607棟(うち国宝218件、266棟)になる。
鑁阿寺本堂は足利氏の居館跡に建てられた中世の密教本堂で、鎌倉時代最新の建築様式である禅宗様をいち早く導入した建物。「わが国の宗教建築の構造と装飾の発展に寄与した禅宗様の、受容と定着の様相を示す遺構として極めて高い価値が認められる」と文化審。
県内の文化財が国宝に指定されるのは56年ぶりで、県内の国宝はこれで17件となる。
鑁阿寺は足利市の中心市街にあり、足利学校とともに観光名所となっている。国宝指定で訪れる人も増えそうで、県や市も観光資源として積極的に活用していく方針だ。
旧前田家本邸は旧加賀藩主・前田家16代当主利為が建てた本邸で、英国風の重厚な意匠を持つ洋館と、迎賓施設に特化した和館からなり、敷地も良好に維持されている。昭和初期における身分の高い人の生活像が表現された建物としての価値が認められた。
旧前田家本邸以外の重文指定は次の通り。
旧開拓使工業局庁舎(札幌市)▽尊經閣文庫(東京都目黒区)▽英勝寺(神奈川県鎌倉市)▽旧鈴木家住宅(愛知県豊田市)▽専修寺(津市)▽堀家住宅(兵庫県たつの市)▽尾崎家住宅(鳥取県湯梨浜町)▽本源寺(岡山県津山市)
