「温泉文化」世界遺産登録では委員会設置
日本温泉協会(笹本森雄会長)は5日、東京都千代田区の全国旅館会館で理事会を開いた。会員総会に諮る事業計画案などを承認。重点事業である「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産への登録推進では、政府や国会議員への要望活動を強化するため、新たな委員会の設置を決めた。一方で、脱炭素に向けて政府が地熱発電開発を推進する中、拙速な開発による温泉資源への影響を危惧し、慎重な対応を関係機関に求めていく活動を継続していくことも確認した。
温泉文化の次世代への継承を目指すユネスコ無形文化遺産への登録推進では、現在は協会執行部、事務局を中心に活動しているが、政治的な活動を活発化させるため、協会内に推進委員会を設置することを決めた。多田計介副会長が委員長に就任し、活動を強化する。
一方で、地熱発電開発の推進による温泉資源への影響を懸念している。環境省は脱炭素社会の実現に向け、「地熱開発加速化プラン」として地熱施設の稼働までに要する年数を短縮し、現在全国に約60超の地熱施設数を2030年までに倍増させる方針を示している。実質的に開発の規制緩和が進められるなど、関連業界の地熱開発への機運は高まっている。
協会では、開発計画が持ち上がった温泉地や、開発に伴って温泉の減衰、減温がみられた温泉事業者などからの相談に対応している。最近では、国内外のメディアから地熱開発と温泉資源の関係などについて、協会に対する取材も増えている。
会員向け記事です。