実家は下関の老舗割烹旅館 作曲家 JASRAC正会員 和田 薫氏に聞く

  • 2021年11月29日

和田 薫氏

宴の記憶がルーツ、音楽で地域振興

 ――作曲家としての活動内容や代表作は。

 「現代音楽や、クラシック音楽をベースに商業音楽の活動と両方を手掛けている。商業ベースの活動はテレビや映画の背景音楽、イベント関係の楽曲制作などだ。アニメやゲームは日本のコンテンツとして世界的に評価されているが、代表作としては『犬夜叉』『金田一少年の事件簿』など。オーケストラにも楽曲を提供している」

 ――楽曲作りで苦労されることは。

 「映画とテレビはまったく作り方が違う。映画の場合は、ある程度出来上がった映像を見せてもらったうえで作曲できるが、テレビは事前に映像を見せてもらうことはない。シナリオや登場人物のキャラクター設定のみで作曲を考えるため、想像を膨らませることが大変だ」

 ――日本音楽著作権協会(JASRAC)に入会したきっかけは。

 「音楽大学に在籍中、当時JASRAC理事長でもあった芥川也寸志先生や、ゴジラなどの音楽を手掛けた恩師の伊福部昭先生の勧めと、音楽でどうやって食べていくかということを考えたとき、『著作権は創作家にとって生活の糧である』と思った。当時、JASRACに入会するためには会員に推薦してもらう必要があった。推薦状は伊福部先生に書いていただいた。JASRACに入会して一人前になれたかなと思った」

  ――JASRAC正会員としての活動内容は。

 「今はJASRACの著作権管理のルール作りを行う管理委託契約約款委員会に参加している。著作者、利用者がともに使い勝手が良く、さらにその時代に合ったよりよいルール作りを検討している」

 「著作権の歴史は古いにもかかわらず、意外と作家自身が著作権について知らないことも多い。JASRACの会員を集めて著作権に関する勉強会を開催している」

 「アニメやゲームの仕事は、海外とのやり取りも多い。SNSなどを通して瞬時に、世界中で共有される時代となった。デジタルコンテンツに対応した国際的な著作権管理のルールが必要で、JASRACにはさらなるリーダーシップを発揮してもらいたい。私も作家の立場から関与したい」

 ――地域振興に熱心に取り組んでいると聞いた。

 「山口県下関市の出身だが、県の日本酒の蔵元で『獺祭(だっさい)』で有名な旭酒造とのコラボレーションで、『交響曲獺祭~磨~』を作った。これを醸造の過程で流し、お酒の発酵を促す効果を狙った。交響曲は東京、大阪、山口などのコンサート会場で初演した。お酒も好評でコンサート会場で発売したがすぐに売り切れた」

 「ほかにも海峡メッセ下関がオープンした際の音楽や、山口国体の式典音楽なども手掛けた。また、山口ふるさと大使、巌流島観光大使を務めている。最近では、県の文化功労賞に選んでいただいた」

 ――下関市の実家は、旅館を営んでいる。

 「旅館名は『寿美礼』という。創業から約80年の地元では老舗の割烹旅館。すぐ近くに漁港があることから地元のふぐ、あんこうなどの海の幸や、長州どり、山口ブランド牛など、こだわりの素材を用いた料理を提供している」

 「宴会客が中心だった子供のころ、宴席での三味線や太鼓を聴いて育った。私の楽曲は日本音楽の素材をテーマとしているが、この幼少のころの出来事がルーツとなって現在の創作活動につながっていると思う」

 ――コンサート活動などで日本全国を回られているが、好きな温泉地は。

 「群馬県の伊香保温泉にはよく行く。情緒豊かで、泉質、街の雰囲気に加え、東京から1時間半で行けるロケーションの良さも気に入っている。子供のときから温泉に親しんでいた。母方の祖母が大分の別府出身だったため、別府や由布院には昔からよく行っていた。温泉を身近に感じられる環境だった」

 「温泉地は音楽との親和性が高く、群馬県の草津の国際音楽祭など、温泉地で開催される音楽祭は多い。また、音楽家は温泉が好きで、オファーがあればすぐに出掛けていくようだ(笑)」

 ――旅館・ホテルへのメッセージを。

 「コロナ禍の中、観光業界の方は大変なご苦労をされている。音楽業界も大打撃で通常の活動ができない時期も続いている。ただ、この時期だからこそできることもある。コロナ終息後の明るい展望として観光業界と音楽業界でコラボレーションなどを模索していければと思う」

【聞き手・西巻憲司】

和田 薫氏

 
 
 
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