奈良県、外客向け施設を16年度にも開設


奈良観光をPRする福井観光局長

奈良観光をPRする福井観光局長

 奈良県と県内の市町村、県ビジターズビューローなどは10日、東京都港区内のホテルで旅行会社やマスコミを招いて奈良観光プロモーションを開催した。この中で福井義尚・県観光局長は、インバウンドの強化策の目玉として、県が2年後から、外国人専用の宿泊機能を有した観光施設を運営することを明らかにした。県によると、行政による同様の施設は他の近畿各県にはなく、全国的にも珍しいという。

 県が計画している施設「外国人観光客交流館(仮称)」は、地方職員共済組合奈良県支部が運営し、昨年閉館した「猿沢荘」(奈良市)をリニューアルして活用する。

 旧猿沢荘は、地下1階、地上4階建て客室24室で、64人を収容できた。県は6月30日、2億4千万円で土地と建物を取得した。

 県は8月末までに基本構想を固める方針だが、交流館には、観光案内機能▽日本文化の体験などの交流機能▽宿泊機能▽コンビニやサイクルステーション、イスラム教徒のための祈祷室など—の機能・設備を備える予定。宿泊機能はドミトリーの形態を採用し、若干定員を増やす方向で検討している。

 今後県議会の承認を得て、基本実施設計、リニューアル工事に着手し、2016年度中にオープンする予定。

 一方、周辺の旅館・ホテルへの説明について、福井局長は「(地元の旅館・ホテルの業界団体に対して)県の取り組みを説明することも検討していく」と話す。県観光プロモーション課は「限られた宿泊客を取り合うのではなく、宿泊者数自体を増やし、宿泊業界全体の底上げにつながっていくと思う」と、相乗効果が出ると強調している。

 プロモーションでは、県や各市町村が観光資源をPRし、今後のイベントなどの予定を発表して送客を呼びかけた。

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