
静岡県大河ドラマ「どうする家康」活用推進協議会 事務局次長(静岡市観光・MICE推進課長)福地 剛氏
持続可能な観光地域づくりへ
「家康公が愛したまち静岡」。令和5年のNHK大河ドラマの主人公が徳川家康公に決まってから、静岡市が内外に発信してきたフレーズです。大河ドラマ「どうする家康」の放送決定を契機に、家康公が少年時代、5カ国統治時代、大御所時代と3度にわたり、人生の約3分の1、25年を過ごした駿府(静岡市)は、家康公ゆかりの地として静岡商工会議所他10団体で構成される活用推進協議会を立ち上げ、さまざまな地域活性化策に取り組んできました。
大河ドラマ館の開設、ゆかりの地をお得に巡ることができる市内周遊割引やスタンプラリー、ドラマの初回と最終回の放送に合わせて出演者を招いたトークイベント等、1年間を通じて観光客を呼び込む施策を展開しました。また、大河ドラマ本編後の「紀行潤礼」で市内のゆかりの地が紹介されたことも、誘客につながりました。
静岡県の観光デジタルデータでは、昨年1月から11月の本市観光施設の来訪者は、前年比約1.2倍に増え、家康公ゆかりの地については特に伸びが大きく、静岡浅間神社は約4倍、駿府城公園は約2倍、久能山東照宮は約2.2倍となりました。市の調査(1月~9月)による市内延べ宿泊者数は、コロナ前の令和元年の150万人泊を上回る結果となりました。
ドラマの放送が終わった今、この関心の高まりや盛り上がりを一過性に終わらせないために、家康公ゆかりの地を巡る周遊を一つの柱とし、日本遺産にも認定されている東海道の宿場観光なども加えて、歴史探訪まち歩きが楽しめる観光地域づくりに磨きをかけていく必要があります。昨年1月に開館した徳川家康、今川氏など静岡の歴史と文化が学べる静岡市歴史博物館、世界的な照明デザイナー石井幹子氏によるライトアップや天守台跡の野外展示の整備が進む駿府城公園を東海道歴史街道観光の拠点とし、歴史・文化を切り口にした観光を持続可能なものにしていきたいと考えています。
さらに、民間事業者の皆さまとも連携しながら、歴史だけでなく、本市ならではの豊かな自然や多様な食を楽しんでもらえるようなガストロノミーツーリズムや、お茶や自然の体験型ツーリズムなどの新たな取り組みも進めているところです。
これからは、「『歴史・文化』『食』『絶景』による感動体験」をキーワードに、「家康公が愛したまち」に育まれた地域資源や観光コンテンツを令和版にアップデートし、その魅力を発信していきたいと考えています。