日本エコツーリズム協会(田川博己会長)は2、3日、設立20年を記念したフォーラム「日本型エコツーリズムがつくる未来~豊かな地域と環境づくりをパートナーシップで実現~」を東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した。20年にわたる活動成果の発表や、エコツーリズムによる未来への挑戦、今後の方向性などを討論し、エコツーリズムを通じた地方創生やSDGs(持続可能な開発目標)の達成について話し合った。
冒頭、エコツーリズム協会の愛知和男名誉会長が「日本全体の問題として地方創生がある。一つの切り口としてエコツーリズムを推進してほしい」とあいさつ。来賓としてあいさつした観光庁の田端浩長官は「訪日需要はモノ消費からコト消費へと転換され、文化、自然を生かし、趣味や趣向に合った場所に訪れる傾向が高まっている。資源の保全と観光が調和したエコツーリズムは重要となる」と述べた。
フォーラムではエコツーリズムに取り組む地域、団体の関係者が今後の方向性を討論した。
2日には、同協会理事で北海道博物館の石森秀三館長が「エコツーリズムがつくる地域の未来」をテーマに基調講演を行った。石森館長は「人口が増える『人口ボーナス時代』から、今後は減少する『人口オーナス時代』へと変わる。定住人口から交流、関係人口が重視され、今後は観光の果たす役割は大きい。また、国家的課題としての観光の推進が必要となる。省資源・省エネルギー型の取り組みを推進し、地域が稼ぎ、活性化する『持続可能なエコツーリズム』の実現が不可欠だ」と説いた。
このほか、「エコツーリズムによる未来への挑戦」「エコツーリズムの現場から」をテーマにしたパネルディスカッションなどが行われた。
田川会長は、今後の日本型エコツーリズムについて「自然環境や歴史文化は常にセット。地域固有の魅力を観光客に伝え、価値や大切さを理解して保全につなげていくことが『日本型エコツーリズム』だ。ただ待っているだけでなく、動かなければならない」と話した。
協会設立20周年を記念したフォーラム