【地域から元気を 地方創生が生み出す未来 1】 京都府綾部市

  • 2022年1月15日

原田商店による古民家再生宿泊施設

全国に先駆けて定住促進を積極推進

 観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの専門4紙誌はメディアパートナーシップを締結しました。今後、専門ジャーナリズムである各媒体の強みを生かして情報発信力を高めていくとともに、さらなる紙誌面の充実を図る考えです。

 活動の第1弾として共同キャンペーン「地域から元気を 地方創生が生み出す未来」を展開します。2022年の1年間をかけ、今、各地で芽吹いている地域活性化の動きを、観光、農業、住宅・建設業などの視点からレポートします。

 「移住立国プロジェクト」により住民、企業、団体、行政が一丸となり定住者を積極的に呼び込む。目標の「移住360世帯」はクリアする見込みで、さらに取り組みの幅を広げ、最大の目標である「人口4万人」に挑戦する。

空き家見学ツアー(写真提供:綾部市)

 綾部市は京都府の北部に位置し、舞鶴市や福知山市、福井県の高浜町などと隣接する絹織物が有名な町である。その人口は、市制が施行された昭和25年の5万4055人をピークに減少が続き、令和3年3月末で3万579人となっている。

 全国でも早くから移住・定住支援に取り組み、平成18年には「綾部市水源の里条例」を制定、限界集落を「水源の里」と命名し、交流から定住につなげる地域振興の取り組みを開始。平成20年には、全国に先駆けて定住の専門窓口「定住サポート総合窓口」を設置、平成23年に策定した「第5次綾部市総合計画」で定住促進策を最重要施策の一つに位置付け、「交流から定住へ。定住から地域振興へ」を目的に、定住促進課、観光交流課、水源の里・地域振興課を配した定住交流部を新設した。平成26年には理念条例「綾部市住みたくなるまち定住促進条例」を制定し、市民、事業者、行政の全市一丸となって定住者を呼び込む機運の醸成に取り組んでいる。令和3年に策定した「第6次綾部市の総合計画」(2021~2030年)では、「移住立国プロジェクトの推進」「空き家流動化の促進による定住者の確保」の取り組みを掲げ、定住促進をさらに加速させようとしている。

 「あらゆる取り組みを進める」(定住交流部定住・地域政策課・塩見浩一課長補佐)中、「定住サポート総合窓口」を設置して以降の移住者は273世帯・656人(平成20~令和2年度)に達している。3年度も33~34世帯の移住が見込まれており、「7年度までに360世帯」という目標はクリアしそう。特に、2、3年度と2年連続で30世帯超えと、移住拡大に勢いがつき始めている。

 

原田商店による古民家再生宿泊施設

 綾部市への移住・定住を促す情報発信は、ホームページやメルマガで市内のイベントや空き家の情報発信を行ってきたが、令和2年には新たに「あやべ定住サポート京都サテライト店」(京都市中京区)を設置した。都市部に情報発信拠点を設け、相談を受けるだけでなく、綾部市に移住した人を講師としたセミナーを年4回開催、地域の魅力を発信する目的で綾部市の特産品や工芸品を展示・販売する「あやべ市」を開催している。

 こうしたPRを通じて定住希望登録者は1393世帯に達する。この世帯に実際に移住してもらうため、市ではさまざまな支援策を用意し、移住・定住促進に力を入れている。

 移住・定住支援の核となるのが相談をワンストップで受ける「定住サポート総合窓口」だ。移住・定住を検討する人は、住まいや仕事だけでなく暮らし全般について知りたいと考える。これらにワンストップで答える窓口であり、必要であれば専門部署に引き継ぎ、事業者を紹介する。きめ細かな対応が特徴で、単に相談を受けるだけでなく、移住前に住民との顔合わせや近隣へのあいさつに同行するといったサポートも行う。移住後にスムーズに地域に溶け込んでもらうことが目的だ。

 移住・定住者の住まいの確保の面では、市内に多く存在する空き家の活用に力を入れる。空き家所有者に対して報奨金制度などで活用を促すほか、「空き家見学ツアー」を全国に先駆けて平成20年にスタート。空き家を購入・賃貸した場合の改修費についての補助制度も用意している。

■    ■

 さらに行政支援だけでなく、地域の事業者・住民の取り組みも特筆される。

 綾部市は、近隣に比べ農家民宿が多く、現在、22件が営業している。京都市内から1時間、大阪市内から2時間というアクセスの良さ、また、養蚕や絹織物で栄えた歴史と文化のまちなかエリアと、伝統的な暮らしぶりが色濃く残る里山エリアが大きな魅力となっている。“半農半X”に興味を持ち、農業をしながら民宿を営む人、また、移住してきて農家民宿を営む人が多く、自ら宿泊者に対して田舎暮らしや綾部市の魅力を発信している。また、志賀郷は以前から、地域住民が自ら地域の空き家を活用し、子育て世代を入居させるなど人口増加の取り組みを進めてきている。「こうした住民の取り組み自体が綾部の魅力そのものであり、定住人口増加に結び付いているのでは」(定住交流部観光交流課・森本直樹課長補佐)とみられる。

 また、古民家や空き家の再生に力を入れる事業者の存在も大きい。例えば、原田商店は空き家・空き店舗を利用した交流スペースやコワーキングスペース、また、宿泊施設などを手掛ける。空き家バンクとは異なる物件を扱うことから、「定住希望者がニーズに合わせて選びやすい役割分担ができている」(塩見課長補佐)と、官民で連携を取りながら空き家活用などに取り組んでいる。

 綾部市では、今、「移住立国プロジェクト」を立ち上げ、市民・団体・企業・行政が一体となり、オールあやべで定住促進に向けたさまざまな取り組みを実践している。掲げる目標は「30年後に人口4万人」だ。

 市でも、京都ワーケーション協議会に参加してワーケーションへの取り組みを開始、2地域居住への取り組みを今後の課題とし、Iターンを中心としたこれまでの施策に加え、新たなUターン施策も検討するなど、新たな動きを加速させる。また、近隣の5市2町と連携し、府北部を一つの定住圏として全国にPRする取り組みを進めるが、この中で高校生による「未来会議」を設置、若年層が参加する魅力的なまちづくりの検討も始める。

 「人口4万人の目標に向け、あらゆる取り組みを進めていく」(塩見課長補佐)考えだ。

 

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