観光施策の財源確保に向けて出国旅客に課税する国際観光旅客税法案が11日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。税収の使途などを定めた外客容易法の改正案も10日に成立。来年1月7日から日本人、外国人を問わず出国ごとに千円を徴収する。
国際観光旅客税は、航空機はもとより、船舶による出国も課税対象。2歳未満の子どもや乗務員は対象外。航空会社などの国際運送事業者が航空券などに上乗せして徴収する。税収の規模は、2017年の出国旅客数(外国人約2869万人、日本人約1789万人)で単純換算すると、出国1回当たり千円で約470億円となる。
使途については、改正外客容易化法(改正後の法律名・外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律)に規定。受益と負担の関係から、日本人出国者を含む負担者の納得が得られ、先進的で費用対効果が高い観光施策に充当される。
具体的な使途としては、(1)国際観光旅客が円滑、快適に旅行できる環境の整備(2)日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化(3)地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備などによる地域での体験、滞在の質の向上―に資する施策と規定されている。
改正外客容易化法には税の使途の規定のほか、地域が定める「外客来訪促進計画」について、計画の策定主体を従来の都道府県から、地方運輸局、都道府県、DMOといった観光団体などで構成する協議会に改めた。行政区画を越えた多様な主体による観光地域づくりの推進につなげる。
また、公共交通事業者の外国人観光客への対応の努力義務を拡大した。従来の外国語の情報提供などに加え、インターネットの利用環境の整備、トイレの洋式化などに取り組むことを定めた。