国立公園の利用促進 改正法案提出めざす 環境省、審議会答申で


自然体験プログラムを推進

 今後の国立公園などの施策に関する審議会の答申を受け、小泉進次郎環境相は2日の会見で、自然公園法について、国立公園の保護と利用の両立を目指した改正法案を検討し、今国会に提出する考えを示した。答申では、国立公園の資源を生かした自然体験プログラムの推進策を制度的に位置付け、地域で策定した事業計画を基に適正に利用を促進することなどを提言。「保護一辺倒」との指摘もある自然公園制度は、訪日外国人の誘客拡大などを目指す政府の観光政策を背景に、自然環境を保護しつつも、地域に経済効果をもたらす利用の促進に向けた視点が盛り込まれることになりそうだ。

 自然公園法の一部改正から10年が経過したことや、政府の観光計画「明日の日本を支える観光ビジョン」による国立公園満喫プロジェクトを踏まえ、中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会が国立公園などに関する課題を審議。今後の施策をまとめ、1月29日に環境相に答申した。

 小泉環境相は答申を受けて「地方の過疎化が進む一方で、コロナ禍で自然や健康への関心は高まっている。その中、国立公園の美しい自然が地域にとってますます重要な観光資源となっている。保護に加えて利用面での施策を強化することで地域を活性化し、国内外の多くの人々が将来にわたって日本の自然の素晴らしさを体感できるようにしたい」と法改正に意欲を示した。

 答申は、「自然公園制度は大きな転換期を迎えている」と表現。インバウンドを基軸とした観光政策を踏まえ、「地域に経済効果をもたらす適正な利用を進めることで、自然環境の保護への理解と再投資も進む好循環を生み出す政策」の重要性が増していると指摘した。コロナ禍で自然体験やワーケーションへのニーズも高まっていることから、滞在型の受け入れ環境整備の必要性にも触れた。「自然環境の保全の必要性は普遍的」とする一方で、「適正に活用することでさらに価値を高めることができる」と提言した。

 今後講ずべき国立公園などの具体的な施策について答申は、自然体験プログラムの開発や提供を適正に促進するため、自治体や事業者、環境省などでつくる協議会で事業計画を策定するよう提言。計画に基づく事業の実施とともに、規制に係る手続きの簡素化、財政的な支援などを行う。

 国立公園などの利用拠点として宿舎、野営場、園地などを整備できる集団施設地区などに関しては、面的な再生、質の向上に関するマスタープランを地域の協議会で作成し、廃屋の撤去、景観の改善、公園利用に係る機能の充実などを推進するよう求めた。今後、施設が放棄され、新たな廃屋が生じることがないような対策も講じる。

 国立公園などの管理の充実では、担い手を確保し、管理体制や予算を強化する必要性を指摘。ガイド、宿泊施設といった地域関係者、ボランティア、自然環境の専門家などの参画も重要とし、役割分担を明確にした上で地域との協働型管理運営を検討するよう求めた。

 

 
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