全旅連青年部、第1回県部長サミット開催 助成金や融資制度を解説


 全旅連青年部は4月20日、定時総会に続き第1回県部長サミットを開催した。「コロナ禍における国の支援事業の活用と観光宿泊業振興セミナー」と題し、宿泊事業者を対象とした助成金や融資、支援事業について、青年部の政策委員会と財務委員会に加え、観光庁と経済産業省の担当者を迎えて解説した。

 星部長はサミットについて、「われわれ宿泊業界をより骨太なものにするため、政策委員会のメンバーに準備を進めてもらった。皆さまがすぐにアクションを起こせるよう、各事業を詳しく説明していきたい」と開催意図を伝えた。

 政策委員会の渡邉利生委員長は、雇用調整助成金の補助額や補助率、新たな支援制度について解説した。「新たな雇用・訓練パッケージ」のもと、原則的な措置として4月末までの補助額1日1人当たり1万5千円、助成率(中小企業)最大10分の10から、5、6月には1日1人当たり1万3500円、助成率(同)10分の9へと段階的に縮減される。緊急事態宣言やまん延防止措置下にある地域は縮減されず、現行の補助額、補助率が維持される。渡邉委員長は新たな支援制度として、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「危機対応業務(中小企業向け)」「実質無利子化~新型コロナウイルス感染症特別貸付特別利子補給制度~」などを紹介した。

 小規模事業者持続化補助金については、同委員会の荒木政臣副委員長が、自館での導入事例を踏まえながら要点を解説した。荒木副委員長は、種子島あらきホテルの館内トイレの改装に際し同事業を申請する時のポイントとして「古くなったから、洋式が当たり前だからなど、ただ和式を洋式に改修したいという旨の申請書は受理されにくい」と指摘。申請時には(1)宴会場に隣接するトイレとして商圏人口内の高齢化率が高まり、洋式を望む声への対応が必要(2)外国人観光客誘致を見据え、受け入れ体制を整備する(3)洋式トイレへ改修することで、地域に寄り添う施設、インバウンド誘客へ向け地域のリーディングカンパニーを目指す―など、顧客の要望に応じ改装を行うことで生産性が向上し、結果として地域の活力が生まれるといった、第三者が見ても内容を理解してもらえるような申請書を作成するのが重要だと解説した。

 IT導入補助金については、渡邉委員長が自館での会計システムの導入事例を紹介した。風望天流山水荘は旧式の会計システムを導入していることで、貸借対照表と損益計算書を確認する際には常に経理担当者を介する手間が生じる、リアルタイムで会社実績が確認できないなどの課題を抱えていた。同補助金をきっかけに会計システムのTKC「FX4クラウド」を導入。利用者が各自アカウントを作成し、売り上げや明細などを即時に把握できる体制を整えた。同システムに労務管理ソフト「opslot」や給与計算ソフト「PX2」を連動させ、勤怠管理をタイムカードからシフト制へと移行し、給与計算の時間を短縮した。

 ものづくり補助金については、財務委員会の石川陽己委員長が、導入のイメージや補助申請の流れを中心に解説した。石川委員長は、運営するアークライフスタイルスペース&ホテルで抱えていたフロントスタッフの人件費やフロントでの混雑、客室キーの性能向上などの課題を解決するため、同補助金を利用し自動チェックイン機、客室用非接触型カードロックシステムを導入した事例を紹介した。石川委員長は「当初は自ら申請の手続きを行うつもりだったがノウハウがなく苦戦を覚悟したので、補助申請の代行業務を行う中小企業診断士を介して申請を行った」と経緯を説明。「サポートを受けたので、比較的スムーズに導入できた」と振り返った。「今後も同事業は継続されると予想している。申請や採択のハードルが高い場合は申請コンサルへの依頼も選択の一つだと思う」と結び、補助金への積極的な申請と活用を呼び掛けた。

 既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業については、観光庁観光産業課の伊藤光明課長補佐が概要を解説した。5月下旬から公募が始まる同事業の「事業者連携型」は、宿泊施設を核とし、土産物店や飲食店、交通事業者など5社以上が連名で応募するもの。審査の評価基準として伊藤氏は、「その事業者間連携だからこそできるという、事業についての独自性が重要。そこから生まれる相乗効果も捉えた申請内容が評価を受けやすい」と説明。「金融機関のバックアップを得た取り組み、ポストコロナを見据えた事業再編に踏み込んだ取り組みは特に評価される」と加えた。

 中小企業等事業再構築促進事業については、経済産業省東北経済産業局地域経済部地域経済課の五戸美智課長補佐が解説した。同事業は中小、中堅企業を対象に、ポストコロナを見据えた事業再構築を支援するもので、5月以降に4回公募する予定。「通常、経産省の事業の補助対象は設備費系がメインだが、今事業は補助対象経費に建物費、建築改修費などを含むのが大きな特色の一つ」と五戸氏。研修費や技術導入費、広告宣伝費など、事業再構築に係る広範囲の経費が補助対象となっている。五戸氏は事業計画書に盛り込むべきポイントとして、(1)現時点での自社の事業内容、同事業の強みと弱み(2)事業の現況を踏まえ、事業再構築が必要な理由(3)事業再構築で具体的にどんな商品、サービスを提供するのか(4)再構築に当たり、現在、今後の市場の分析が必要。その中で自社の優位性や価格設定、新事業で生じる課題やリスク、その解決法を示すこと―などを挙げた。

 
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