中国駐東京観光代表処 首席代表 欧陽安氏に聞く


中国駐東京観光代表処 首席代表 欧陽安氏

日本との観光交流復活に向けて

両国は重要な観光目的地 青少年交流事業を活発に

 今年3月に就任した中国駐東京観光代表処の欧陽安首席代表に「日本との観光交流復活に向けて」をテーマに語っていただいた。

 ――今年新たに就任。改めて抱負を。

 「私はもともと中国文化部におり、そこから中国駐日本国大使館に2回派遣され、合計6年間、日本に滞在していた。私が文化部に戻った後の2018年に文化部と国家観光局が合併し、『文化と観光部』となり、中国国家観光局駐日本代表処は中国駐東京観光代表処と名称が変わった。今回、その首席代表として、初めて観光に関わる職に就くことになった。責任重大であり、関係する皆さまとともに観光を通じた中日友好の懸け橋となるよう尽力したい」

 ――今年の主な事業は。

 「コロナの影響で20年年初から2年半、中日間の正常な人的往来ができずにいる。だが、さらなる交流拡大へ、さまざまな努力を続けている」

 「JATA主催のウェブセミナーは今年、4月と7月のいずれも参加し、中国の教育旅行素材と世界遺産を中心に日本の旅行会社の皆さまに紹介した。7月のJATAによる海外旅行再開プロジェクトにも参加した。今後は9月に開催されるツーリズムEXPOジャパンにも出展する予定だ」

 「私たちの主催では、3月に山東省濰坊(イボウ)市の無形文化遺産展、4月に浙江省文化観光プロモーション、5月に食のイベント『四川フェス』(共催)、6月に陝西省民俗文化祭と山梨県甲斐市での青少年によるランニングイベント『ファンラン大会』を行った。四川フェスは東京の中野駅近くの公園で行い、2日間でおよそ5万人の参加を得た。ファンラン大会は山梨県の高校生と中国から日本に来た留学生など合わせておよそ100人が参加。参加者や地元の方々からの評判が良く、『将来は中日友好のために貢献したい』という声が若者から聞かれた」

 「今後も8月に中国観光文化ウィーク、敦煌の文化・芸術に関するイベント、来年1月に富士急ハイランドで春節を祝うイベント、さらに時期は未定だが中国と日本の青少年教育旅行シンポジウムも予定している」

 ――中国と日本のさらなる交流促進に向けて、長期的に両国が取り組むべきことは。

 「両国は互いに重要な観光の目的地だ。観光庁の資料によると、中国本土から日本への観光客はコロナ前の19年に959万4千人に達した。これは歴史上、一番大きな数字だ。中国台湾、香港、マカオを含めた中華圏を合わせると訪日全体の53%を占める。逆に、日本から中国本土への観光客は19年に268万人。コロナ前は大きな変動が見られなかったが、それでも決して少なくない数字だ」

 「両国が取り組むべきことは、一つは青少年交流を活発にすること。青少年は国の未来を担う存在。中国と日本は引っ越しができない隣国だ。青少年たちの心に友好の種をまかなければならない」

 「私たちは古くからの文化や観光資源に限らず、発展が著しい経済など現代的な側面や、メディアがあまり報道しない部分も含めて立体的に今の中国を紹介し、国民の友好感情を向上させる取り組みに尽力したい」

 ――首席代表から見た日本の観光地や温泉、旅館の印象は。

 「私は大学時代に日本語を専攻し、過去6年間、日本への滞在経験がある。出張で47都道府県の半分ぐらいに行ったことがある」

 「日本社会を見て感じたことは、まず安全で、清潔で、街並みが整っていること。電車は時間が正確で、観光するにも便利。多くの日本人は礼儀正しい。私は日本人の友達も多いが、みんないい人で、中日友好のために頑張っていて、いつも感謝している」

 「観光地も同じイメージで、街が奇麗で秩序がある。観光バスの添乗員は礼儀正しく、運転も安全を重視してスピードをあまり出さない。質の高い笑顔のサービスが印象深い」

 「温泉は、実は初めて出張で訪れたときは裸で入ることに戸惑ったが、徐々に慣れてきた(笑い)。リラックスできていい」

 「旅館は現代的で立派な施設から小さな家族的な宿まで種類が豊富で、女将という独特の存在があるのも特徴的だ。日本の文化を体験するために、中国人を含めた外国の人には旅館に泊まることを勧めたい」

 ――日本の旅行業者に一言。

 「中国駐東京観光代表処は、先ほど述べたようにさまざまなイベントを行ったり、今は中断しているが現地を訪れる視察ツアーを催行したりして中国の文化と観光を日本の旅行業界の皆さまに紹介している。百聞は一見にしかずという言葉がある。今後も発展する経済を含めて中国の現状を多くの方々に紹介したい。特に今年は中日国交正常化50周年でもある。コロナ終息後、多くの方々を迎えられるよう、皆さまと連携を密に取り組んでいきたい」

 

 欧陽 安氏(オウヨウ・アン)1975年、中華人民共和国江西省生まれ。中国の大学で日本語学科卒業後、01年6月中国文化部入省。03年8月~06年8月と14年12月~17年5月に中国駐日本国大使館文化部。18年9月~22年3月に中国文化と観光部。22年3月から現職。

【聞き手・森田淳】

 

 

 
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