岐阜県下呂市の下呂温泉で8日、湯の恵みに感謝する恒例の「下呂温泉神社例祭」が開かれた。汗ばむ陽気の中、観光客は温泉街を練り歩く参進行列や「せんごまき」などに触れ、下呂の秋を満喫した。
同例祭は1989年に山形・出羽三山の湯殿山神社から分霊を受け、毎年10月8日に下呂温泉旅館協同組合などが温泉への感謝を込めて執り行っている。
今回は神社建立30周年を記念し、出羽三山神社から宮野直生宮司を迎え、厳粛に執り行うとともに、花笠踊りの発祥地、山形県尾花沢市の「尾花沢花笠踊りお披露目隊」が本場の花笠踊りを披露、祭りを盛り上げた。
旅館会館での例祭神事後、白鷺橋で振る舞い酒や芸妓連奉納祭舞などが行われた。鏡割りでは「日本酒大好き」というイギリス人旅行者が乾杯の音頭をとった。
1万円分の宿泊補助利用券を包んだせんごまきでは、氏子総代の滝多賀男さん(下呂温泉旅組理事長)らが紅白だんごや菓子を威勢よくばらまき、観光客は競うように拾っていた。
岐阜市から来たという女性グループは「天気に恵まれ、祭りを堪能できた。紅白だんごも手に入れ、運が向きそう」と笑顔で話していた。
直会(懇親会)であいさつした滝さんは「今年は台風や大雨で大きな被害が出たが、みんなで力を合わせ復興に取り組んだ。国内はもちろん、外国人も楽しめるまちづくりのため、できることは何でもやることが大事だ」と力強く語った。
鏡割りをする例祭関係者(右端が氏子総代の滝さん)
神社建立30周年を記念し、出羽三山神社の宮司(右から3人目)を迎えた