リョケン、今年の「旅館経営指針」を発表


 コンサルタントのリョケン(佐野洋一社長)は12月、「平成26年旅館の経営指針」を発表した。キーワードは「旅館経営・新世代へ〜夢を描こう! 実現しよう!」。「新しい世代の顧客を、新しい世代の感覚でもてなすために、いま何をすべきか」を提言している。その一部を紹介する。

大きく変わった経営環境
 近代型旅館は、昭和40年代ごろから平成の初めごろまで、高度経済成長の時期とその後の成熟経済に移行してしばらくの時期にかけて、急速な発展期にありました。

 所得がしだいに増え、余暇時間が増え、生活が豊かになっていく中で、旅行がその豊かさの象徴として求められ、団体旅行がさかんに行われていた時代です。乱暴な言い方をすれば、一定の品質確保、一定の販売努力をすることで、一定の業績を手にすることのできた時代がありました。

 こうした時代とともに旅館やホテルの発展を担ってきた経営者の多くが今、60〜70代という一定の年齢層に達してきています。そしてその子供の世代が30〜40代となり、経営を背負って立つ年齢になってきました。

 この世代、あるいはそれ以下の世代の経営環境は、親たちの世代とは明らかに異なっています。その頃の価値観ややり方が通用しなくなっています。旅館経営のあり方・考え方に世代交代が求められています。

宴会「夜型」から健康「朝型」へシフト
 さて、これからの時代に対応する「滞在時間軸」を見直すひとつの方向として、健康「朝型」への移行の商品づくりを提案したいと思います。宴会〜二次会への流れを志向するお客さまから、癒やし、ゆとり、健康を志向するお客さまへのシフトです。

 以下のような試みはこれからのお客さまのニーズと合致すると思います。

 (1)食事時間の二部制…18時と19時30分(17時30分と19時)
 (2)20時以降の「滞在場所づくり」「参加型イベント」「出張サービス」
 (3)大浴場の早朝開始…日の出とともに営業
 (4)朝食時間の延長…6時〜10時
 (5)滞在対応の休憩システムと荷物預かり機能
 (6)昼食対応サービス(ブランチ対応含む)
 (7)滞在アイテム、地域内情報の提供(散策マップなど)
 (8)近隣地域情報の詳細(ジャンル別)のタイムリーな提供

 その他にもまだまだたくさん考えられます。チェックインから食事までの過ごし方、食事後の夜の過ごし方、目覚めから朝食まで、チェックアウト後〜地域を出発するまでの過ごし方です。

 この時間帯に何が提供できるか、どういうアクティビティ用意できるかが問われています。施設などのハードの整備よりも、「ソフト」の提供を中心に考えていかなければなりません。

商品開発の想定対象者は「新世代客層」
 これからの商品づくりの課題は、お客さまのニーズに合わせることにあります。お客さまのニーズに合わせるためにはお客さまのことをよく知る必要があります。

 今、注目すべき消費をリードする客層は次の層だと思います。

●「じじ・ばばポケット」
 3世代の家族の支払いはおじいちゃん、おばあちゃんという客層ですが、最近の特徴がおじいちゃん、おばあちゃんが若いということです。50代の現役世代からリタイアしたばかりの60代など、自身も活動的な新リッチ世代でもあります。

●「ママ友」
 小さな子供を持つ母親のグループ、サークルです。保育園や幼稚園のママ友デビューからつながるケースも多いようですが、最近ではネット上に拠りどころを求めて広がるケースもあるようです。

●「タマゴ旅・ヒヨコ旅」
 「タマゴ婚・ヒヨコ婚」という言葉は一般的になりましたが、その旅行版です。

 「赤ちゃん歓迎の宿」が小さな子供を持つ若い夫婦の間で好評です。年々利用者が増えています。

 また、出産前に夫婦で記念の旅行をしたいというニーズも顕在化しています。

●「シングルシルバー」
 会社を辞めると知り合いがいなくなる。という団塊世代の悲哀を聞いたことがあります。地域や親族間のつながりが薄れ、家族以外の付き合いが少なくなっているからです。

 特に、男性はその傾向が強いようです。

 この層が積極的に遠出するようになっています。

●「シングルマザー」
 日本の母子家庭世帯は約110万世帯。そのうちの80万世帯が母子だけの純粋の母子家庭です。その8割が年収200万円台という環境にあります。

 母1人と子供の宿泊は旅館ではあまり歓迎されていませんでした。大人1人の利用にあたり、料金が割高になるからです。逆に、この層には旅館に泊まって、温泉に入りたいというニーズが強いことも事実です。

●「オフ会」
 普段会えない仲間同士が交流を深めるオフ会。今まではリアルの世界での接触の機会の少ない仲間同士が対象でしたが、最近では、ネットの普及により、ネット上で知り合った人々が集まり交流を深める場となっています。

 
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