欧米豪の地方誘客に好機
日本政府観光局(JNTO)は、9月に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会を契機とした地方のインバウンド振興に注力している。ラグビーファンが多い欧州やオセアニアから誘客する好機として、ラグビーW杯の専用ウェブサイト、有名外国人選手らを起用したPR動画などで訪日観光の情報発信を強化。試合会場となる関係自治体はもとより、幅広い観光関係者に好機を生かした取り組みを呼び掛けている。
ラグビーW杯日本大会は9月20日~11月2日の44日間。ラグビーワールドカップ2019組織委員会は、W杯を目的にした訪日外国人客数を40万人と予想する。過去の大会の動向から訪日客の大半は、英国、豪州、ニュージーランド、フランスなどが占めるとみられる。
出場は20チームで試合数は全48試合。試合会場は日本各地の12都市に及ぶ。会場となる都市は、札幌、釜石(岩手)、熊谷(埼玉)、東京、横浜、静岡、豊田(愛知)、東大阪(大阪)、神戸、福岡、熊本、大分。大会の期間が他のスポーツイベントに比べて長く、観戦客の滞在日数も長いと見込まれる。
ラグビーW杯についてJNTOの金子正志企画総室長は、4月23日のメディア向け説明会で「試合を目的にしたファンは必然的に地方を訪れることになり、地方の認知度を向上させる千載一遇の好機」と指摘。ラグビーW杯に合わせたプロモーションの展開で、地方の観光地への訪問、SNSなどを通じた観光情報の拡散などが期待できると強調した。
JNTOは、ラグビーW杯専用の情報発信ウェブサイト(https://visitjapan2019.com/)を2017年11月に開設。英語、フランス語、イタリア語の3言語表記で、情報を順次更新。試合会場の都市ごとに観光周遊コースや体験型コンテンツなどを紹介している。
日本にゆかりのある有名なラグビー選手が登場する訪日観光のPR動画も作成して各種媒体で発信。神戸製鋼コベルコスティーラーズのダン・カーター選手(ニュージーランド)、元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表ヘッドコーチ)、サントリーサンゴリアスのマット・ギタウ選手(豪州)が神戸、札幌、福岡の魅力をPRしている。
JNTOではこの他に、ラグビーW杯の試合や関連ニュースを取材する海外メディア向けに招請事業や情報提供を強化している。18年度には海外メディアを釜石、九州・西日本に招請したほか、日本の観光に関する画像や動画の素材をメディアに提供するサイト「ジャパン・オンライン・メディア・センター」の内容を拡充した。
自治体などに向けては、外国人観戦客の受け入れやメディア対応などに関してJNTOが18年6月に「開催自治体観光担当者ミーティング」を開催。観光庁も18年度に関係自治体などの出席で「ラグビーワールドカップ日本大会に向けた観光戦略会議」を2回開催した。
JNTOによるラグビーW杯専用の情報発信ウェブサイト