ホテル旅館の業況DI、前年同期比93ポイント低下 日本公庫調査「極めて厳しい状況」


 日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の景気動向等調査の4~6月期分を公表した。同期の業況判断DIは全業種でマイナス87.4と、前期比52.5ポイント低下した。前年同期比でも73.2ポイント減と、大きく低下した。公庫では生衛業の業況を「極めて厳しい状況にある」とした。業種別では、ホテル・旅館がマイナス96.3で、前期比44.1ポイント減、前年同期比でも92.5ポイント減と、それぞれ大きく低下した。

 調査は6月上旬、生活衛生関係営業3290企業に行い、このうち3138企業が回答。ホテル・旅館業は187企業が回答した。

 業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値)は、ホテル・旅館を含めて、全9業種で前期比下降した。

 来期(7~9月期)の見通しは、全業種で今期比38.4ポイント増のマイナス49.0。業種別では、ホテル・旅館が50.3ポイント増のマイナス46.0で、大きく上昇するものの、引き続きマイナス圏で推移する見通し。

 このほか同期の売上DI(前年同期比で増加の企業割合から減少の企業割合を引いた値)は、全業種が前期比56.4ポイント減のマイナス85.2。ホテル・旅館が同62.0ポイント減のマイナス93.5。

 業況に対する判断理由のうち、ホテル・旅館の主な回答は次の通り。

 「開店休業状態が長く続き、6月20日から県をまたいでの移動が全面解除されたことから回復への期待はあるが、修学旅行やインバウンドの宿泊が主体であることから、団体予約はほとんどない状態」(今期、悪化、山形県)。

 「新型コロナウイルス感染症の影響により1月末日から宿泊部門、レストラン部門、宴会部門の全てで激減。4月23日から休業要請で全館休業し、6月に再開したが予約はほとんどない状態」(今期、悪化、富山県)。

 「道後温泉が6月後半に開場予定でそれまでは道後の商店街は半分程度しか店が開いておらず、閑散としている。多くのホテル・旅館で従業員の解雇・レイオフ等の話も聞かれ観光客はほとんど見られない。イベントはことごとく中止となり集客もできず、借金でしのいでいるといった状況が続くと思う」(今期、悪化、愛媛県)。

 「スポーツ大会や文化祭などの開催中止が決まり、夏季の宿泊予約はほとんどない。県をまたいでの移動制限が全面解除後もビジネスや観光の宿泊は少なく、夜の宴会も自粛のままで厳しさは増している」(今期、悪化、熊本県)。

 「新型コロナウイルス感染症の影響により、宴会、宿泊共にキャンセルになった。歓送迎会、総会等、全てキャンセルになり、売り上げが厳しくなった」(今期、悪化、鹿児島県)。

 「県をまたいでの移動制限が解除されたが、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない限り、インバウンド需要は見込めず、国内の観光客も感染不安から首都圏への移動に慎重になっており、当分は回復は期待できない」(来期、悪化、神奈川県)。

 「新型コロナウイルス感染症の拡大でテレワークが増えるなど、ビジネス客の出張宿泊が減少している。インバウンドが戻る見込みもなく、夏季スポーツ大会などの延期で選手等の宿泊も期待できなくなった」(来期、悪化、徳島県)。

 「休業要請後の5月23日から営業を再開したが、県内以外の宿泊予約が入っておらず、先行きは厳しい。県の観光キャンペーン(割引宿泊クーポン等)の実施に期待しているが、効果は未知数である」(来期、悪化、佐賀県)。

 「県をまたいでの国内の移動が全面解除されたが、インバウンド需要は皆無で、夏の修学旅行の宿泊予約も既にキャンセルになっている。国や県の旅行・観光への消費喚起キャンペーン実施への期待はあるが、感染が収束したわけではなく、見通しは不透明である」(来期、不変、岐阜県)。

 
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