全国の旅館・ホテルでは、春節期間の中国からの宿泊客が減少、予約のキャンセルが発生しているほか、日本人の予約のキャンセルも起きている。
インバウンド依存率の高い九州のある旅館は、韓国人客の減少に加え、中国人客も激減するダブルパンチを受けている。「韓国人客は80%減。中国人客は昨年11月ごろから急増し、トップシーズンのこの時期(春節)はシェア20%以上になるものと推定していたが、見事に見込みが外れた」。
同じ九州の旅館は「弊社はもともとインバウンドのお客さまは少ないが、中国からのお客さまはやはりキャンセルになっている。台湾、香港のお客さまは例年並みに動いている感覚だ」。
この旅館では日本人からのある問い合わせも急増。「中国のお客さまが宿泊しているかの問い合わせがかなりある」という。
中国地方のある旅館経営者も同様の趣旨の話をする。「当館のインバウンドは台湾がほとんどなので、(新型肺炎の)直接の影響はない」としながらも、「予約日に中国人の宿泊があるならキャンセルしたいとの電話が日に十数件ある。外国人のキャンセルより、日本人のキャンセルの方がはるかに多いと感じている」。
千葉県の旅館が中国・武漢に滞在していた日本人を受け入れていることに関し、「『ホテル・旅館は(全国的に)帰国者を受け入れているらしく危ないので、旅行を見送る』という勘違いキャンセルもあった」。
関西のある旅館は「1月末からキャンセルの嵐。中国からはほとんどがキャンセルになった」。
さらに思わぬ被害も。「直前のキャンセルのため、キャンセル料をもらうべきところ、OTAから請求はやめてほしいと連絡があった。新型肺炎と全く関係ないと思われるところからの予約でも、便乗してキャンセル料の免除を言ってくるお客さんが増えた」。
一方、「新型肺炎を直接の原因とするキャンセルはない」「もともと団体旅行はほとんど受け入れておらず、影響は限定的」「中国本土のお客さまが少ないので、さほど影響はないと思う」と、新型肺炎の影響をほとんど受けていない旅館・ホテルも少なからず見受けられる。