コロナ下の旅館、9割超が「好転」「やや好転」 観光経済新聞アンケート調査


Go Toトラベルの東京除外解除後初の日曜日、観光客でにぎわう神奈川県の箱根湯本温泉

Go Toの影響大きく 延長要望も運営方法の改善指摘

 観光経済新聞社は9月30日から今月15日まで、全国の主な旅館約200軒に、コロナ下の経営に関するアンケート調査を行った。宿泊客の予約状況は、9割超が「好転」または「やや好転」と回答。全てがGo Toトラベルキャンペーンの実施を要因に挙げた。国や自治体に求めたいさらなる支援策は、Go Toトラベルの延長が多く挙がった。ただ、運営方法の改善も多くが指摘している。調査では自館で行っている新型コロナウイルス対策も聞いた。

 宿泊客の予約状況について、「好転」「やや好転」「変わらない」「やや悪化」「悪化」の五つの選択肢で聞いたところ、「やや好転」が68.3%と最も多かった。次いで「好転」が25.4%。この二つで93.7%と、9割超を占めた。

 このほか「変わらない」が3.2%。「やや悪化」「悪化」がともに1.6%。

 「好転」または「やや好転」と回答した旅館に、要因として考えられるものを複数回答で選んでもらった。最も多かったのは「Go Toトラベルキャンペーンの開始」で、全てが回答した。以下、「自治体による県民割引などの企画」が62.7%、「旅行会社・OTAなどの企画」が15.3%、「自館の営業努力」が8.5%、「地元観光地・温泉地の企画」が5.1%。

 Go Toトラベルキャンペーンへの事業者登録は、全てが「している」と回答。

 その理由を自由記述形式で聞くと、「落ち込んだ売り上げを回復するため」「お客さまにお得にお泊まりいただくため」などのほか、「集客のためなら何でも参画したい」「生き残るには参加するという以外の選択肢はない」と、経営に強い危機感をにじませる回答も見られた。

 「国や自治体に求めたいさらなる支援策」も自由記述形式で答えてもらった。Go Toトラベルキャンペーンの期間延長と運営方法の改善が多く、雇用調整助成金の特例措置の延長、各種補助金の拡充なども目立った。主な回答は次の通り。

 「Go Toの延長(多少条件を低くしても)」

 「Go Toトラベル終了後はまた、閑散となるのではと不安。さらなる支援がほしい」

 「団体客の動きは全くない。Go Toキャンペーンは来年1月いっぱい。2月以降も継続してもらえるよう考えてほしい」

 「(Go Toは)1月31日終了の予定だが、後から参加した東京都だけは延長してほしい」

 「Go Toトラベルの恩恵を受ける地域の温度差の解消」

 「Go Toトラベルの割引は宿泊料金のパーセント割引であり、高額宿泊費旅館ほど有利になり、リーズナブルの宿泊設定旅館はユーザーが選びづらい。自治体等が行っている定額割引の方が平等ではないか」

 「Go Toキャンペーンは消費者にもホテル側にも分かりにくい。また本人確認などで負担も大きくなっている」

 「Go Toトラベルで十分。だが、情報開示が遅すぎるため、施設側もユーザーも対応に苦慮している。もっとシンプルかつ十分な準備を願う」

 「キャンペーンは大変ありがたいが、あまりにも事務手続きが多すぎて、訳の分からないトラブルが非常に多い。にもかかわらず、全部施設に丸投げしてくる。生産性に影響が出るレベル。意味不明なストレスを抱えている」

 「地域独自の補助クーポンを大都市だけでなく、地方の小さい都市でも発行してほしい」

 「今度のコロナ禍で、修学旅行のキャンセルが続いている。早いところで2年前から決定している学校が間際にキャンセルをすれば、大きな機会損失となる。文科省、各県市の教育委員会はそのことを理解されているのか。取消料の支援策をお願いしたい」

 「雇用調整助成金特例の3月までの延長」

 「休業していたときの補償をもっと出してほしい」

 「補助金額が足りなかった。宿の規模に合った補償金額があればもっとしっかりと対策できるので、さらなる支援を願う」

 「ウイルス対策の補助金の拡大」

 「定額給付金再配布」

 「無利子の融資」

 「追加融資、資金繰り支援策の拡大」

 「特別融資に対する劣後債等への移行指導。返済に対する特別優遇措置」

 「消費税などの減免措置」

 「とにかく旅行業が活発になる対策」

 「コロナ終息に向けた対策」

 「ワクチンをいち早く」

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