【食と観光 日本の新たな魅力62】ドリアンへの挑戦を 山上 徹

  • 2017年5月16日

 においには、快い「匂い」と不快な「臭い」とに分けられる。双方のにおいを合わせ持つ果物の代表格といえば、ドリアンを真っ先に思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

 ドリアンの木の高さは10~30メートル程度であり、果実は人の頭ほどの大きさ。その重さは1~5キログラムぐらいでからは非常に固い。

 マレー語でドリアンのドリとはトゲ(刺)、アンとは果実のこと。果実の表面は完全にトゲで覆われている。実の内部は5室に分かれ、各室内に2~3個の種子がある。種子の周りのクリーム状の可食部分は果実全体の割合からしては少量だ。

 ドリアンは果物の王様。一方、果物の女王とは、マンゴスチンだ。ドリアンの果実は強い甘味を持ち、栄養豊富なため、国王が精力増強用として食した。また、強烈な臭気は熱帯果実の魔王(サタン)、悪魔の果物、禁断の果物という異名が多々ある。

 特に、一度食べると、その臭いが匂いへと変わり、死ぬまで食べ続けた人やドリアンと酒とを一緒に摂って死んだ人など、ドリアンのエピソードは尽きない。

 ドリアンは強烈な臭いゆえ、一部のホテルや地下鉄、航空機内でも持ち込み禁止。また、路上のドリアン屋台前をタクシーで通り過ぎただけで、ガスの漏れたような悪臭が車内に充満する。

 しかし、東南アジアへの旅に出かけた際、本場の王様・女王の果実を屋台で、一度は挑戦して食することも、土産話のネタづくりには一考の価値があるかも。

(梅花女子大学教授)

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