昨年12月、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)推進法が成立、カジノの法制度化が進む。しかし、すでに事実上、日本はギャンブル大国ともいえないか。例えば、競馬、競輪や競艇の公営ギャンブルに加え、パチンコ・パチスロなどの賭け事が可能だ。
昔から男の三大道楽を飲む(酒)、打つ(博打)、買う(女)というが、それぞれに依存症の害があった。
このうちでも、博打を打つ遊び人らは、いかさま賭博の罠にはまり、財産すべてを失い、地獄を見た。
一度、ギャンブルに味を占めた人は、濡れ手で粟の一攫千金が忘れられない。特に、ギャンブルは出たとこ勝負の「一か八か」の偶然性のワクワク感で一喜一憂。だから、カジノはギャンブル依存症者を増やすと、解禁に多くの人は反対する。
日本のインバウンドの増加策には、見る、買う(ショッピング)、食う、する、特に、カジノなどの五感に訴える非日常体験が可能な国となることだ。カジノに前向きな自治体は統合型リゾートの開設に向け、インバウンド客の誘致やMICEの振興、さらに、カジノ税収入の皮算用で夢を膨らませる。
近年、ビジネスの顧客戦略は新規客の開拓よりも、熱烈なファンの確保を優先。もし熱烈ファンが多く、カジノ業が儲かれば、依存症や風紀の乱れなどが社会問題化する。逆に赤字では、無駄な投資との批判を招く。ゆえに、カジノの開業は「もろ刃の剣」となることを忘れるなかれ。
(梅花女子大学教授)