旅館・ホテルの個人客を増やす施策として有効なのが、季節ごとの集客イベントの開催である。紅葉シーズンの終わった晩秋からクリスマス後まで集客に苦戦する観光地は多い。地域のイベント・催事だけに頼るのではなく、自力で集客イベントを企画できるようになれば、閑散期でも売り上げを安定的に確保できるだろう。
今回コラムでは、人材や資金に限りのある中小旅館・ホテルでも取り組める、集客イベント企画の進め方を紹介しよう。
1、イベントテーマ(お題)を決める
全体を俯瞰するテーマを最初に必ず決めておこう。日本国内の季節の行事や地域の行事、エリアのイメージからモチーフを得ると良い。テーマを決めておかないと、企画会議の場でスタッフから平凡なアイデアや思いつきの意見しか出てこないので留意したい。
2、具体的な企画内容を幅出しする
具体的な企画内容を幹部スタッフでリストアップしてみよう。実現可能性や予算はこの段階では意識する必要はない。テーマ(お題)に沿った内容であることが重要だ。
次のような着眼点で考えるとアイデアが出やすくなる。
・イベントと連動した料理=○○フェアと称して、テーマに合わせた料理メニューを発案する。具体的なメニューは料理長に任せても良い。協力を得やすくするために企画会議には料理長を必ず参加させたい。食材は消費者が好む定番のもので構わない。例えば、春は野菜、夏は肉、秋は松茸、冬はカニなどである。地域性を考慮して決めると良いだろう。
・ラウンジコンサート=ラウンジで小規模コンサートを実施する。アマチュアや低廉な報酬で対応してくれるアーティストで構わない。著名人は報酬が高額で日程も限られることから中小旅館・ホテルでは採算が合わない可能性が高い。
・ライトアップ=敷地やパブリック、露天風呂をLED照明でライトアップする。既製品を購入してスタッフが取り付けすれば安価で済む。
・館内写真展=写真撮影を趣味とするお客さまがいる場合には、館内写真展を行う。お客さまが撮影した写真をパネル展示すると良い。
・散策ポイントの紹介=自館を起点として季節ごとの散策ポイントをイラストマップで紹介する。SNSに投稿しやすいビューポイントも併せて紹介すると良いだろう。
・イベント地への無料送迎=周辺でイベント開催している場合には無料送迎する。
・星空鑑賞=秋から冬は夜空が澄んでくるので、天体鑑賞を企画化する。
次回も引き続き、集客イベント企画の進め方を紹介しよう。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)