【観国之光 469】コロナ禍の悪夢再び? KP.3が猛威、要注意 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


感染拡大が心配される(コロナ禍で人けがなくなった東京・上野公園。21年春撮影)

 昨年5月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」となり、緊急事態宣言による行動制限などの対策は行われなくなった。マスクの着用などの感染対策も基本的に個人の判断に委ねられた。

 コロナ収束と受け止め、旅行に出かける人も増え、円安もあり、訪日外国人旅行者も増加。観光地はコロナ禍前のにぎわいを取り戻しつつある。ところが、ここにきてコロナの感染者が増え、流行の「第11波」に入ったとの見方が強まっている。業界関係者は「コロナの悪夢が去り、ようやく日常に戻ったのに。勘弁してほしい」と心情を吐露する。

 厚生労働省によると、7月8~14日の1週間に全国の約5千の定点医療機関から報告された感染者数は約5万5千人だった。前週(1~7日)から1万5千人ほど増えている。地域的には九州や沖縄が多い傾向にある。

 感染拡大の主流はオミクロン株の変異株「KP.3」とみられる。感染やワクチンによって獲得された免疫を擦り抜ける力がこれまでのものより強く、感染が広がりやすい特徴があるとされる。

 東京都医師会の尾崎治夫会長は定例会見で「感染者数はこのペースでいくと1カ月後に3~4倍になる可能性がある」と指摘した。

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