【観国之光 465】NHK大河ドラマ 観光誘客の効果期待 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


越前市の大河ドラマ館。展示品や小道具も入れ替えられ、客足増に期待がかかる

 紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」も中盤に差し掛かってきた。第25話(6月23日)の世帯平均視聴率は10.1%、第24話から0.6ポイント減った(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

 視聴率に一喜一憂するのは出演者や制作側だけではない。ドラマの舞台となった地域も同じではないか。ドラマをきっかけに観光に訪れる人も少なくないだけに、低視聴率はよろしくない。

 昨年放送された「どうする家康」は、愛知県に約393億円、うち名古屋市に約140億円の経済波及効果をもたらしたとされる(名古屋観光コンベンションビューロー、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。

 大河ドラマにつきものなのが大河ドラマ館で、今回は京都府宇治市、滋賀県大津市、福井県越前市に設けられた。番組の衣装や小道具などを展示し、その世界観を伝えるだけに、紫式部ファンにとっては一種の聖地のようなものなのかもしれない。

 また、「観光で近くに来たから寄ってみようか」という人もいる。

 紫式部が源氏物語の構想を練ったとされる大津市の石山寺には「光る君へ びわ湖大津大河ドラマ館」が設けられた。6月25日には来館者が10万人を突破。予想を上回る人出があり、当初の年間目標10万人から16万人に引き上げられた。

 その10万人目は台湾から来た女性で、「(光る君へは)台湾でも放送されており、舞台となった地を見てみたい」と思い、訪れたという。

 源氏物語五十四帖のうち、最後の十帖の主な舞台となったのが宇治市。「光る君へ 宇治大河ドラマ館~都のたつみ 道長が築いたまち~」がある。3月11日の開始から5月中旬までに来場者は2万人に達したが、やや伸び悩み気味のようだ。どう巻き返しを図るか。

 紫式部は人生の大半を京都で過ごしたが、京都を離れて暮らした地が越前国だ。越前市の武生中央公園(しきぶきぶんミュージアム内)に設けられた「光る君へ 越前大河ドラマ館」は追い風が吹いている。

 5月下旬に「越前編」が始まったことで、客足が増加。6月10日にはしきぶきぶんミュージアムの来館者が5万人を達成した。目標とする25万人は簡単ではないが、6月28日にはリニューアルし、越前編に沿った内容に。

 10月14日~11月14日は秋の恒例イベント「たけふ菊人形」が開催される。さらに、同時期にOSK日本歌劇団の公演があり、ドラマ館との連載企画が検討されている。「この期間が最大の山場になる」と西川哲司館長は意気込む。

 大河ドラマも当たり外れがあるが、観光誘客への期待は大きい。

 
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