10月から「Go Toトラベル」の対象に東京都が加わり、地域共通クーポンも配布される。
また、飲食業を支援する「Go Toイート」のプレミアム付き食事券事業については、感染状況がある程度落ち着いた地域から近く始まり、10月からは予約サイトを通じた飲食店利用によるポイント付与もスタートする。
Go Toとは別に、9月19日からは大規模イベントの人数制限も緩和された。
新型コロナウイルスで落ち込んだ経済をテコ入れする政府の「Go To」事業が新たな段階に入る。特に注目を集めているのが東京の追加で、東京発着旅行の予約が18日、解禁された。
都を除外したままでは需要刺激の効果が十分に発揮できず、観光関係者からは「東京が最大のマーケット、そこが動いてくれないと地方も困る」という声が出ていた。約1400万人都民の動向は業界に与えるインパクトも大きい。また、都自体も多くの観光地を抱え、旅行会社にとっても商品造成の幅が広がる。
半面、人の往来が活発化することでコロナウイルスの感染が拡大しかねない。
欧州を例にとると、欧州連合(EU)加盟国は6月、感染鎮静化に伴って域内の入国規制を解除したが、ここにきて感染者が増え、スペインやフランスでは1日の新規感染者が1万人を超える日があるという。日本が欧州と同じ道を歩むとは言い切れないが、無視はできない。
仮に感染の急激な広がりが確認できた場合には「再び除外を検討するなど、引き返す勇気も必要」との指摘もあるが、回り始めた経済の動きを止めることに反対意見も少なくない。
赤羽一嘉国土交通相は9月15日の会見で、Go Toの利用者数が8月末の時点で延べ1339万人だったと明らかにした。最大市場の都が加われば、利用者はさらに増え、国内旅行の活性化につながりそうだ。
その一方で、宿泊施設からは「Go Toトラベルの恩恵が受けられない」という声も聞こえてくる。割引額が大きいためか、「この際だから普段泊まれない高級施設に泊まろう」と考える消費者が多いようだ。
「1泊3万とか、5万とかの宿は盛況だが、価格設定の低い施設にはなかなか予約が入ってこない」とはある温泉地の旅館組合。
Go Toトラベルから漏れる事業者をどう扱うべきか、政府は検討すべきではないか。業界もアイデアを出し、働きかけてほしい。
同時に、旅行に気兼ねなく行ける環境づくりも欠かせない。コロナ社会は新たなステージに入っている。
Go Toトラベル事業の東京追加で国内旅行機運は盛り上がりそうだ(横浜・赤レンガ倉庫)