秋の行楽シーズンを迎えている。10、11月には3連休があり、観光地もにぎわいを見せそうだ。が、台風15号の被害を受けた千葉県などはいまだ爪痕が残っており、観光にも影響が出ている。
それにしてもこれほどインフラが弱いとは。JRの計画運休もスムーズにいかず、大混乱した。極めつけは千葉県内の広域停電だ。停電の影響で断水や通信障害も起きた。エアコンも使えず、水も出ず、情報も得られない生活を強いられる人たちの苦労はいかばかりか。
東京電力は当初、11日中に全面復旧するとしたが、その後何度も見通しを修正し、大きな批判を浴びている。一刻も早く全面復旧を実現しなければならない。何より、大規模停電と復旧の遅れの要因を徹底的に検証し、同じ事態を繰り返さないようにしなければならない。
国土交通省によると、23日6時現在、千葉県内の旅館・ホテル53軒で屋根や窓ガラスの破損などが報告されている。観光施設にいたっては35施設が臨時休業中という。
観光庁は9月13日、千葉県と宿泊団体に対し、被災者のニーズに応じ、宿泊サービスや入浴・炊き出しサービスを積極的に実施するよう求めた。
これに応え、12施設が入浴支援を行い、10~21日の利用者は延べ1万9100人に上った。宿泊支援については、15日に県が利用可能な施設数を公表。「市町村で対象者を選び、マッチングを実施中」という。
県と県旅館ホテル生活衛生同業組合は「災害時における宿泊施設等の提供に関する協定」を結んでいるが、それぞれが大変な中にあって支援を惜しまない対応は称賛に値する。
来場者の落ち込みや臨時休業を余儀なくされた観光施設も多く、影響の長期化を懸念する声も高まっている。旅館の中には、通信障害で予約客と連絡がとれないケースもあるようだ。
武田良太防災担当相は20日、千葉県などに大きな被害をもたらした台風15号を激甚災害に指定すると発表した。指定には調査が必要なため、時間がかかる場合があるが、もっと早くできないのかと思う。
自治体にとっては、指定されるかどうかは災害復旧の計画全体に関わるため、一刻も早い指定を望む。激甚災害に指定されると、被害を受けた道路や農地などを地方自治体が復旧する際の、国からの補助率が引き上げられるからだ。
台風シーズンはまだ続く。観光業界も油断はできない。ふっこう割ではないが、被害を受けた地域の速やかな観光復興を後押しする制度のようなものはできないものだろうか。
台風15号による千葉県内の被災個所を視察する赤羽国土交通相(左)=国交省ホームページから