【観光業界人インタビュー】JTBフォト社長 宮田悦雄氏


JTBフォト社長 宮田悦雄氏

旅行会社への写真貸し

経費削減のシステムを開発

──JTBフォトの事業内容は。

 「旅行関連会社ではあるが、ストック写真を扱っている。国内、海外の旅行パンフレットで使う風景の写真は、一番新しいものが必要とされる。メーン業務は、約450人のカメラマンから全国の風景写真などを預かり、その画像を旅行会社などに貸し出している。企業名にJTBの名前は付いているが、かなりの数の旅行会社の皆さまに利用してもらっている」

──「たびフォトサーチ」という、旅館や観光協会などがネット上で写真を貸し出せるシステムも手掛けている。

 「旅館では、パンフレットを作る時期になるといろいろな旅行会社から施設画像を送ってほしいと頼まれ、画像をCDに焼いたり配ったりする作業が意外と大変だという声を聞いた。CDで渡すと、画像がどう使われたか把握できないなど、セキュリティの問題もある。そこを解決するサービスとして、旅館の各種施設写真を旅行会社に簡単に貸し出せるシステムを最初に作った。さらに、同じような苦労をしている観光施設や観光協会なども提供側のユーザーに加えた」

──たびフォトサーチの利用料はいくらか。

 「旅行会社やマスコミなどの借りる側は無料で、旅館や観光施設など貸す側は年間3万円が必要。システムを旅館などが1社で作れば経費が大変。提供する側の皆さんに少しずつ費用を負担してもらう形で運営している」

──システムの特長は。

 「最大のポイントは、画像を見ることは誰でもできるが、ユーザー側(旅行会社など)はIDとパスワードを持っていて、かつ、旅館側なり施設側から許諾を与えられていない限り、写真をダウンロードできないことだ。許諾の権限は旅館側にある。どこの旅行会社のどの支店の誰々が何の目的で写真を使うのかという記録が、ダウンロードと同時に提供者側に届くので、著作権対策にも対応している」

 「画像を貸し出せるだけではなく、施設の平面図や現地の周遊マップ、団体向けプランの提案書など旅館や観光施設が持っているさまざまな情報も旅行会社に発信できる。各観光協会が所有するポスターを紹介できるカテゴリーもあり、ポスターを店頭で張りたいと連絡してきた旅行会社には絵柄を見てもらったうえで対応できる。そういう販促機能も有している」

──東北の観光復興を応援する取り組みも始めた。

 「12月までサイト内に東北コーナーを設け、東北の旅館や観光協会、地方自治体などに写真を無料で登録してもらい、それを旅行会社が利用できる取り組みを、日本観光協会と一緒に展開している。経費削減の観点などから写真利用が少ない傾向にあるが、サイトの登録写真を増やすことで、旅行会社やマスコミに無料で使ってもらい、東北へ多くの人に訪れてもらいたい」

──現在のユーザー数は。

 「借りる側が約300、貸す側が約100まで増えてきた。すでに海外からの問い合わせもあるので、インバウンドも見据えながら、それぞれ1千ユーザーぐらいにするのが目標」

 「旅行業界と、旅館、観光施設、観光協会とが経費や時間を削減し、相互にウインウインになってもらうためのシステムと確信している。多くの皆さんに利用してもらいたい」

【みやた・えつお】
1950年生まれ。1974年に日本交通公社(現JTB)に入社。名古屋支店、団体旅行渋谷支店、JTBワールド、提携販売東京支店、JTBヨーロッパ、JTB地球クラブに勤務後、2009年6月から現職。

JTBフォト社長 宮田悦雄氏

 
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