【観光学へのナビゲーター 16】地方創生の切り札?「農泊(NOUHAKU)」 日本国際観光学会・東洋大学大学院国際観光学研究科 博士前期課程 木本和男

  • 2019年10月29日

大本和男氏

 わが国では、「観光」を成長戦略の柱、地方創生の鍵として、観光振興に取り組んでおり、昨年度の訪日外国人旅行者数は3,119万人、旅行消費額は4兆5,064億円と、いずれも過去最高を記録した。引き続き、2020年までに訪日旅行者数4,000万人、消費額は8兆円という目標達成に向けて、訪日外国人旅行者数は射程圏内に入り、とりわけ旅行消費額の拡大について、官民一体となって進めているところである。

 政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成28年3月30日)に基づき、全国各地では、文化・伝統・食などの観光資源の磨き上げ等を進め、観光地域づくりを行っている。そして、その賑わいを10年、20年と持続させ、地域の活性化(=地方創生)につなげていくことが重要となっている。

 この中で、農山漁村地域の所得向上、地方創生を実現するための重要な政策の一つとして「農泊」を位置づけており、インバウンドを含む観光客を農山漁村に呼び込み、旅行消費額の拡大や地域を活性化するための取り組みを進めている。事実、「日本ならではの伝統的な生活体験と非農家を含む地域の人々との交流を楽しむ『農泊』を推進する」と位置づけられ、積極的に展開されつつある。

 この「農泊」について、農林水産省では「農山漁村地域ならではの伝統的な生活体験と地域の人々との交流を楽しみつつ、農家や古民家等での宿泊によって、旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行」と定義している。

 つまり「農泊」の概念は、単に農家民泊だけを指すのではなく、英語で言う“Countryside Stay”、すなわち都市民泊以外の、農山漁村地域における宿泊全般を指すといえる。

 この定義に基づき、各農山漁村地域ごとに、農家民泊、漁師民泊、寺泊、城泊、別荘泊、古民家泊、学校泊(廃校になった校舎の活用も含む)、空手などの道場泊など、地域の特性に応じた、実に多様なタイプの「農泊」宿泊施設が存在し、農山漁村ならではの宿泊体験を提供するだけではなく、近隣のレストランや飲食店で地元農家が生産した農産物や地元食材の郷土料理を味わったり、農林水産直売所で買い物をしたり、田植えや稲刈り、野菜収穫、牧場での乳しぼり、山菜狩り、ジャムづくり、工芸品づくりなど体験メニューに取り組むといった幅広い体験をすることが広義の「農泊」といえる。

 農水省では、全国で500地域の「農泊」地域を作ることを目標に掲げ、現在、さまざまな成功モデルが生まれてきている。今後の展開から目が離せない。

木本和男氏

 
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