【観光学へのナビゲーター 14】考えることを忘れ、進化し続けることを諦めたホテリエに未来はない 日本国際観光学会・立飛ホスピタリティマネジメント SORANO HOTEL 取締役COO 坂本裕之

  • 2019年10月8日

坂本裕之COO

 日本のホテル産業は訪日外国人旅行者の増加により、一時期の閉塞状況から一転して活況に転じ、さらに東京オリンピックという一大イベントに乗じて、国内のホテルは乱立状態となっている。この状況は、過去の東京オリンピック開催時のように、ホテルという西欧文化に立脚した異文化産業を輸入してきた過程とは背景が全く異なる。

 ここ数年、「外資系ホテル」に全ての面で凌駕されてきた日本のホテルの弱点は、ホテルという姿形の外観のみならず、内部に潜む目に見えないインタンジブルな「システム」=(運営のシステム、人事教育制度)があることをよく吟味してこなかったことである。そして、また現代では、過去とは違った「デジタル」や「環境」という世界も加えて準用していかなければならない状況下であることは言うまでもない。

 ホテルグレードやタイプも多種多様となり、一概にグローバルスタンダードに規定されるものでは語ることができない、あるいは従来型の格付けやグレード基準に当てはまらないライフスタイル型ホテルなども多く輩出されるようになってきた。1990年代半ばから、新たな価値観を持つ層をターゲットにしたライフスタイル型ホテルの隆盛から、時代は小規模、独立系、個性やこだわりを重視するホテルへの志向、ニーズへ間違いなく移行している。インターネットというインフラが完備した今、画一化されたチェーンのメリットは昔ほど大きくなく、品質さえニーズに即したものであれば、No Brand でも伍して戦える時代である。利用する側も、明確な自身の価値観を基に選択する、選択できる成熟したユーザーに成長している。考え続け進化し続けることが今ほどホテリエに求められる時代はない。

 これからは、姿形を変形させながらも模倣を繰り返すホテルづくりではなく、「金太郎飴」のような紋切型のホテルでもない、新しい機軸をもったホテルが必要とされているのではないだろうか。高いデザイン性と突出した個性、革新性へのこだわり、そして親しみやすさ、フレンドリーさ、さらにローカライズ(地元の魅力発信基地)、地域貢献を大切にしたまさに新時代に相応しいホテルのあり方を追求する時代となっているのだろう。


立飛ホスピタリティマネジメント SORANO HOTEL 取締役COO 坂本裕之氏

 
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