【焦点課題】JNTO地域連携部長 渡辺厚氏に聞く

  • 2019年5月13日

JNTO渡辺部長

地域プロモーション連携室の取り組み

地域の観光情報を世界に まず受け入れ環境整備を

 ――地域プロモーション連携室立ち上げの背景は。

 「JNTO(国際観光振興機構、日本政府観光局)は、デジタルマーケティングを駆使しながら、国別プロモーション戦略、欧米豪など富裕層向けのプロモーション、MICEの誘致などに取り組んでいる。その中で、これまで以上に地方への誘客を促進するべく、地方自治体やDMOなど地域との連携強化を目的に、2017年9月に地域プロモーション連携室を立ち上げた。18年7月には体制を増強し、現在は10人で活動している」

 ――現在の取り組みは。

 「インバウンド促進における地域の期待と訪日客のニーズのマッチングおよび地域のインバウンドマーケティングの高度化の二つを目的に事業を進めている。昨秋からは、地域の魅力ある観光コンテンツの収集を行い、JNTOのプロモーションに活用するという事業を始めている。欧米豪市場に向けた地域の体験型コンテンツを募集し、外国人有識者や海外事務所の意見を踏まえて分類、整理されたものを、JNTOが持つグローバルサイトやSNS、富裕層が閲覧するサイト、商談会などで効果的に活用していく。地域からは約2100のコンテンツが集まり、そのままプロモーションに活用できるものは300にも上った。すぐに海外へ発信するまでに至っていないと判断したものは、改善ポイントを添えてそれぞれの地域にフィードバックし、地域のコンテンツの高度化を促していく。昨年夏からは、訪日マーケティングの研修会を全国11カ所で開催し、最新の訪日トレンドやJNTOが取り組むデジタルマーケティング、ラグビーワールドカップを生かした地域プロモーションのポイント紹介なども行った。今年度も、DMOをはじめ地域のご要望を聞きながら、地域の実情に合わせた内容やJNTOとの具体的な連携方法などについて研修会でお伝えしていく予定だ。地域への情報発信においても、地域の観光関係者向けの専用ウェブサイトで海外市場の情報や地域での好事例の掲載、フェイスブックで研修会の内容の紹介などを行っている。このほか、地域連携部の会員サービスグループが中心となり、賛助団体、会員を対象にインバウンド旅行振興フォーラムや海外との接点を設ける商談会などを実施している」

 ――情報発信以外でのサポートは。

 「今後の検討課題である。JNTOのサイトを経由して実際の予約成立につなげるという意見もあるが、旅マエから予約までの導線についての課題は今後検討していく」

 ――組織、部署の目標は。

 「究極の目標は、インバウンド観光の推進で地方創生に貢献すること。政府が掲げる訪日旅行者数20年4千万人、30年6千万人の達成にはさらなる地方への誘客が不可欠だ。地域の皆さんが考えている訪日プロモーションとJNTOが実施するプロモーションを有機的に連動させ、双方向での関係強化を図ることで、より効果的なプロモーションへと落とし込んでいきたい」

 ――効果的な事例は。

 「『Enjoy my Japan』のメッセージの下、欧米豪をターゲットに訪日促進のグローバルキャンペーンを展開している。欧米豪では、日本に関して無関心な人はまだまだ多い。トラベルライフサイクルの中で言うと、認知をされないと予約行動にはつながらない。『海外旅行に頻繁に行くが、日本をまだ認知、意識していない層』に対し、『楽しい国 日本』の魅力を発信することで、今後の誘客につなげる。欧米豪訪日客は長期で旅行をし、消費額は高い。滞在が長い分、地方を訪れる機会も多くなる。キャンペーンは、自然や食、アートなど、旅行者の興味関心に応じ七つのカテゴリーに分類した日本の魅力を、JNTOのサイトやSNSなどで発信している。回答データからは、不認知だった本キャンペーンに接触した人の77%が訪日旅行に関心を持ったと出ている。デジタルデータをもとに国別、年齢別で何をしたいかなどを分析し、今後の効果的なマーケティングに生かしていく」

 ――地域のインバウンドプロモーションの課題は。

 「情報発信は大切だが、まずは受け入れ環境の整備をし、旅行者の満足度向上を図ること。そして、地域、広域における役割分担を明確にし、連携を図ることの二つだ。地域が単体で発信してもなかなか世界には届かない。まずは、その地を訪れた外国人旅行者がブログやSNSで『良かった』と言ってもらえるよう来訪者の満足度を高めなければならない。実はそれがその地域にさらに多くの外国人を誘客するため最も効果的な宣伝でもある。そのためにコンテンツの掘り起こしと磨き上げ、受け入れ環境の整備による満足度の向上、広域連携の中でのコンテンツのストーリー化を行い、旅行者が安全・安心でまた来たいと思える観光地域づくりを行ってほしい」

 ――今後の取り組みは。

 「立ち上げから1年半が経過し、何をすべきかが見えてきた。今後は、地域から収集したコンテンツの発信後の具体的効果、データを地域に戻し、日本全体のボトムアップにつなげたい。現在、地域とJNTOはコンテンツで結ばれている。ここをさらに深化していきたい」

 


わたなべ・あつし=1991年4月にJR東日本入社。2013年びゅうトラベルサービス取締役国内旅行事業本部長、15年常務取締役を歴任。18年7月にJNTO地域プロモーション連携室長、19年4月から現職。

【長木利通】

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