【焦点課題】日本地域国際化推進機構 代表理事 伏谷博之氏に聞く

  • 2021年2月23日

伏谷氏

国際文化観光都市づくり

持続可能な地域社会を実現へ DXで市民の生活環境も向上

 ――伏谷さんは、タワーレコードの社長を経て、世界315都市、58カ国で発行されている文化、エンターテインメント、イベント情報のフリーペーパー「タイムアウト」の日本版「タイムアウト東京」を2009年に開設。感度の高いインバウンド客への観光・エンタメ情報の提供を担われてきた。今年1月に一般社団法人日本地域国際化推進機構を設立し、代表理事に就任されたが、設立の背景、目的について伺いたい。

 「観光は日本の経済社会の発展にとって重要な柱であり、国の持続可能な未来を実現するためにもコロナ禍からの復興は必須だ。いま必要なのは、来るべき新時代の観光に向けた準備。本機構は、国、自治体、関係企業、学術団体などと緊密に連携して、国際文化観光都市づくりを日本各地で積極的に推進していく」

 「文化観光推進法(文化観光拠点施設を中核とした文化観光の推進に関する法律)が昨年成立した。文化と観光の振興、地域の活性化の好循環を生み出す取り組みを進めていく必要がある。つまり、地域の文化観光資源を活用して地域活性化のための経済効果を生み出すことが不可欠だ。これからの文化観光では、国際的な評価を得るための環境づくりが求められる。多言語対応やキャッシュレスなどの非接触決済の導入、交通アクセスの利便性の向上、情報発信など、地域を訪れる人に、より豊かで安全な滞在体験を提供できる環境を整備する必要がある。本機構は、観光を通じた地域の国際化を推進し、持続可能な地域社会の実現を目指す」

 ――具体的な活動内容は。

 「2021年度は、三重県伊勢市と連携し、旅行者のための受け入れ環境・基盤の整備、地域資源の発掘・磨き上げ、それらの取り組みが市民の生活環境向上に結びつくようにするための実証実験を行う。詳細は今後発表する」

 ――機構の理事に、観光庁の前長官で現在は三井住友銀行顧問の田端浩氏、トリップアドバイザーの前代表で日本政府観光局デジタル戦略アドバイザーの牧野友衛氏、NEC執行役員の受川裕氏らが名を連ねている。

 「田端氏は、私が観光庁アドバイザリーボード委員を務めていた時の長官で、本機構の設立趣旨にご賛同いただいた。私は、牧野氏が昨年11月に設立した『一般社団法人メタ観光推進機構』の理事も拝命している。トリップアドバイザーは米国発祥のウェブメディア、タイムアウトは英国発祥の雑誌&ウェブメディアで、共に日本代表として、情報発信の部分で訪日外客拡大のお手伝いをさせていただいてきた仲だ。受川氏はNECで、スマートシティ事業、デジタルID事業、モビリティ事業開発を担当されている」

 ――コロナ禍で観光はどう変わると思うか。

 「まず『密の回避』。地方・地域への分散化、人気スポットへの集中回避、顧客減に対応可能なビジネスモデルへの転換が起きる。次に『時間と空間からの開放』。オンとオフの境界線の曖昧化によるナイトタイムエコノミーなど時間市場の創出、トラベルのライフスタイル化、ワーケーションなどの滞在型観光の日常化だ。そして『デジタルとリアルの融合』。来訪していない時もつながる関係性により、観光にレジリエンス(復元力)が備わる。観光客をライフタイムバリュー(生涯顧客価値)で捉える必要が出てくるだろう」

 「旅のスタイルは『マスツーリズム』から『スタイル・目的の多様化』へ、観光資源は『建築物などの有形資産』から『歴史・文化・習俗などの無形資産』へ、DX(デジタルトランスフォーメーション)は『観光客の利便性』から『住民と観光客の利便性』へ、観光客は『一見さんのビジター』から『常連さん・ファンコミュニティのメンバー』へ、観光消費は『個別消費』から『ライフタイムバリュー』へと既に変化してきている。私はこれを『5つのニューノーマル』と呼んでいる」

 

 ふしたに・ひろゆき 島根県生まれ。関西外国語大学卒。大学在学中にタワーレコードに入社。2005年代表取締役に就任。同年ナップスタージャパンを設立して代表取締役を兼務。タワーレコード最高顧問を経て07年、ORIGINAL Inc.を設立し、代表取締役に就任。09年に同社で「タイムアウト東京」を開設。観光庁アドバイザリーボード委員(19~20年)の他、農水省、東京都などの専門委員を務める。

【聞き手・江口英一】

 

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