【日本政府観光局インバウンド最新リポート 70】バーチャルトリップが人気 JNTOシンガポール事務所 永井初芽 所長

  • 2021年2月6日

岡山県倉敷市からの中継映像

臨場感、双方向 「今」を配信

 シンガポールの国土は約720平方キロと、東京23区の面積のおよそ1.1倍である。国土の狭い当地において国外旅行は欠かすことのできない主要なレジャーであり、2019年は人口約570万人に対し、延べ1千万人以上が出国している。現在は自由な出国ができなくなっているが、多くのシンガポール人が再び国外旅行ができる日を心待ちにしている。

 このような状況の中、少しでも旅行気分を味わえる新たな娯楽として、オンラインでのバーチャルトリップが人気を集めており、昨年、旅行会社や運輸機関などの旅行関係企業や政府観光局が、有料、無料のさまざまな取り組みを開始した。当所でも、フェイスブックなどを通じて日本からの映像をライブ配信した。本取り組みは非常に好評で、最も人気の高かったものは、事後視聴も合わせると計1.7万回視聴され、約400件のコメントが寄せられた。以下、事業を通じて得られた気づきを3点紹介する。

 まず、視聴者がバーチャルトリップに期待していることは、臨場感があることである。中継映像が最も反応がよく、録画動画やスライドなどに切り替わると離脱者が出る傾向が見られた。視聴者はプロモーション動画のような美しい映像よりも、スマートフォンなどで撮影されたものでも構わないので、今この時の日本の様子を感じることができる映像を喜ぶ。あたかも自身がその場にいるかのような疑似体験を求めているのだ。

 次に、オンラインの特性を生かして、インタラクティブな中継を目指すことである。ライブ配信を行うと、配信中に視聴者から多くのコメントが寄せられる。その機能を生かし、視聴者との交流を図ることができる。例えば、クイズを出してその答えを入力してもらったり、質問をコメントしてもらうように促してその場で回答したりすることができる。また、ガイドやMCが、寄せられたコメントを読み上げて感謝、感想を伝えるだけでも、コメント欄が盛り上がるきっかけとなり、配信する側と視聴する側につながりが生まれる。

 最後に、失敗を過度に恐れないことである。今回当所が実施した7件も、日本からの中継を依頼した連携先のほとんどがライブ配信は初めてであった。トラブル発生時への対応方法を事前に考えておくことは重要だが、実際に念入りなリハーサルを重ねても、当日の通信トラブルで音声が途絶えてしまったこともあった。きちんとした対応ができれば、特に無料配信の場合、視聴者からのクレームはほとんどなく、多くの視聴者が離脱せず、音声の復旧を待ってくれていた。リスクを恐れて実施をためらうよりは、案ずるより産むがやすしで、ぜひ前向きに取り組んでもらいたい。

 バーチャルトリップは、コロナ禍で生まれた消費者との新しいコミュニケーションであり、今までのプロモーション手法とは違う魅力がある。当所では、今後もこの手法を活用し、日本各地の「今」をシンガポール人に届けていきたいと考えている。

 

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